Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【日本】ファストリ、全商品の原材料・素材を自社環境・人権基準で管理する体制構築へ

 ファーストリテイリングは11月7日、サステナビリティ説明会を開催。2021年に定めた2030年目標の進捗状況を説明するとともに、サプライチェーンに関する新たなアクションを示した。

【参考】【日本】ファストリ、サステナビリティ2030年目標を設定。スコープ3排出量削減、サプライチェーン、D&I等(2021年12月10日)

 生産体制では、「サプライチェーンの可視化と集約」「生産拠点の多様化」「原材料調達管理の深化」の3つの取り組みを柱に、全商品における縫製から原材料の調達レベルまでの各工程において、原材料や素材をすべて自社基準で指定、管理する体制の構築を進めていることを明らかにした。サプライチェーンにおける人権・労働デューデリジェンスでも、2023年春からユニクロの綿商品で紡績工場と「生産パートナー・コード・オブ・コンダクト」を締結し、2023年8月までに主要紡績工場へ労働環境モニタリングを実施した。

 「サプライチェーンの可視化と集約」では、縫製工場や主要素材工場と築いてきた強固なパートナーシップを、サプライチェーンの上流工程にまで拡大。生産の全工程で品質、調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を適用し、自社でサプライチェーン全体を管理していくことを伝えた。原材料から最終商品までのトレーサビリティを確保し、原材料を指定農場や牧場から調達できるようにもしていく。

 同アクションでは、2023年春夏シーズンから、ユニクロの全商品で、原材料レベルまでの商流を把握。2023年8月までには、ユニクロ綿商品において、長期的な取引が可能な紡績工程のサプライヤーに集約した。今後は、全素材で3次取引先にあたる紡績工程においても同様の集約を進める。主要原材料では、生産パートナーと連携し、農場・牧場または工場を指定・調達するアクションも開始した。

 「生産拠点の多様化」では、主要生産拠点である中国生産の拡大に加え、東南アジアでの生産比率が伸長。インドネシア事業、ベトナム事業の国内生産比率は5割以上に拡大。成長市場インドでもさらに国内生産を拡大していく予定。

 「原材料調達管理の深化」では、企画段階で原材料の産地や品質を指定調達し、随時トレースできる仕組みを構築。綿素材から開始し、早期に全素材に拡大する予定。

 商品開発では、全使用素材に対する再生素材の活用等、低炭素型素材の使用割合は2023年企画商品全体で8.5%に上昇。ポリエステルについては、全使用量の30%に再生ポリエステルを採用。2030年度までに企画商品全体で50%とする目標に向け、商品企画や素材開発を勧めている。ヒートテックとエアリズムの一部インナー商品でも、2023年から初めて再生ポリエステルや再生ナイロンの素材を採用した。

 エンド・オブ・ユースでも、全商品をリユース・リサイクルする「RE.UNIQLO」を展開中。その一環として、ユニクロ原宿店において2023年10月11日から22日までの期間限定で、古着を販売するポップアップストアを開催した。ロンドンのユニクロ店舗では、服のリペアやリメイクを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」を2022年9月に開設。すでにグローバル展開まで勧めており、2023年10月末までに16カ国・地域35店舗にまで広がっている。

 二酸化炭素排出量の状況では、2030年度までに、店舗や主要オフィスなどの自社運営施設でのエネルギー使用に由来する温室効果ガス排出量を2019年度比で90%削減する目標に対し、2022年度は45.7%減。2030年再生可能エネルギー比率100%の目標に対しては2022年度末時点で42.4%となった。スコープ3では、ユニクロ・ジーユー商品を対象に2030年度までに2019年度比20%減を掲げており、2022年度は6.2%減まで到達した。

 生物多様性(自然資本)でも、バリューチェーンにおける生物多様性への影響や依存度のリスクを定性・定量の両面で評価し、カシミヤ、ウール、コットンの生産による土地利用の影響が大きいことを特定。カシミヤについては、琉球大学の研究チームと連携し、当社がカシミヤを調達している全牧場の植物の状況を、衛星データを使い解析。あわせて、サステナビリティ部担当者が牧場へ足を運び、現地調査を実施。調査結果に基づき、今後、改善のためのアクションを実行する予定。ウールについては、カシミヤ同様に評価と改善を進めていく予定。コットンについては、再生可能農業への適用可能性の検討を進めている。

 同社は同日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との間で、4年間にわたる新たなグローバルパートナーシップの合意書も締結。4年間で総額600万米ドル(約9億円)を拠出し、衣料支援、緊急支援、自立支援、コミュニケーション活動など多岐にわたる活動を支援する。年間1,000万着の衣料も提供。さらに、ユニクロのチャリティTシャツのプロジェクト「PEACE FOR ALL」では、利益の全額(1枚当たり20%相当)を、UNHCRをはじめとする3団体に均等に寄付する。

 同社は2006年からUNHCRと連携し世界の難民・国内避難民への衣料支援を行っており、2011年には、アジアの企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結している。

【参照ページ】「LifeWear = 新しい産業」 説明会を開催 持続可能な成長に向けたサプライチェーン改革を推進 原材料調達まで全工程を自社管理する生産体制へ
【参照ページ】ファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所がグローバルパートナーシップを強化

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 ファーストリテイリングは11月7日、サステナビリティ説明会を開催。2021年に定めた2030年目標の進捗状況を説明するとともに、サプライチェーンに関する新たなアクションを示した。

【参考】【日本】ファストリ、サステナビリティ2030年目標を設定。スコープ3排出量削減、サプライチェーン、D&I等(2021年12月10日)

 生産体制では、

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 ファーストリテイリングは11月7日、サステナビリティ説明会を開催。2021年に定めた2030年目標の進捗状況を説明するとともに、サプライチェーンに関する新たなアクションを示した。

【参考】【日本】ファストリ、サステナビリティ2030年目標を設定。スコープ3排出量削減、サプライチェーン、D&I等(2021年12月10日)

 生産体制では、

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 ファーストリテイリングは11月7日、サステナビリティ説明会を開催。2021年に定めた2030年目標の進捗状況を説明するとともに、サプライチェーンに関する新たなアクションを示した。

【参考】【日本】ファストリ、サステナビリティ2030年目標を設定。スコープ3排出量削減、サプライチェーン、D&I等(2021年12月10日)

 生産体制では、「サプライチェーンの可視化と集約」「生産拠点の多様化」「原材料調達管理の深化」の3つの取り組みを柱に、全商品における縫製から原材料の調達レベルまでの各工程において、原材料や素材をすべて自社基準で指定、管理する体制の構築を進めていることを明らかにした。サプライチェーンにおける人権・労働デューデリジェンスでも、2023年春からユニクロの綿商品で紡績工場と「生産パートナー・コード・オブ・コンダクト」を締結し、2023年8月までに主要紡績工場へ労働環境モニタリングを実施した。

 「サプライチェーンの可視化と集約」では、縫製工場や主要素材工場と築いてきた強固なパートナーシップを、サプライチェーンの上流工程にまで拡大。生産の全工程で品質、調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を適用し、自社でサプライチェーン全体を管理していくことを伝えた。原材料から最終商品までのトレーサビリティを確保し、原材料を指定農場や牧場から調達できるようにもしていく。

 同アクションでは、2023年春夏シーズンから、ユニクロの全商品で、原材料レベルまでの商流を把握。2023年8月までには、ユニクロ綿商品において、長期的な取引が可能な紡績工程のサプライヤーに集約した。今後は、全素材で3次取引先にあたる紡績工程においても同様の集約を進める。主要原材料では、生産パートナーと連携し、農場・牧場または工場を指定・調達するアクションも開始した。

 「生産拠点の多様化」では、主要生産拠点である中国生産の拡大に加え、東南アジアでの生産比率が伸長。インドネシア事業、ベトナム事業の国内生産比率は5割以上に拡大。成長市場インドでもさらに国内生産を拡大していく予定。

 「原材料調達管理の深化」では、企画段階で原材料の産地や品質を指定調達し、随時トレースできる仕組みを構築。綿素材から開始し、早期に全素材に拡大する予定。

 商品開発では、全使用素材に対する再生素材の活用等、低炭素型素材の使用割合は2023年企画商品全体で8.5%に上昇。ポリエステルについては、全使用量の30%に再生ポリエステルを採用。2030年度までに企画商品全体で50%とする目標に向け、商品企画や素材開発を勧めている。ヒートテックとエアリズムの一部インナー商品でも、2023年から初めて再生ポリエステルや再生ナイロンの素材を採用した。

 エンド・オブ・ユースでも、全商品をリユース・リサイクルする「RE.UNIQLO」を展開中。その一環として、ユニクロ原宿店において2023年10月11日から22日までの期間限定で、古着を販売するポップアップストアを開催した。ロンドンのユニクロ店舗では、服のリペアやリメイクを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」を2022年9月に開設。すでにグローバル展開まで勧めており、2023年10月末までに16カ国・地域35店舗にまで広がっている。

 二酸化炭素排出量の状況では、2030年度までに、店舗や主要オフィスなどの自社運営施設でのエネルギー使用に由来する温室効果ガス排出量を2019年度比で90%削減する目標に対し、2022年度は45.7%減。2030年再生可能エネルギー比率100%の目標に対しては2022年度末時点で42.4%となった。スコープ3では、ユニクロ・ジーユー商品を対象に2030年度までに2019年度比20%減を掲げており、2022年度は6.2%減まで到達した。

 生物多様性(自然資本)でも、バリューチェーンにおける生物多様性への影響や依存度のリスクを定性・定量の両面で評価し、カシミヤ、ウール、コットンの生産による土地利用の影響が大きいことを特定。カシミヤについては、琉球大学の研究チームと連携し、当社がカシミヤを調達している全牧場の植物の状況を、衛星データを使い解析。あわせて、サステナビリティ部担当者が牧場へ足を運び、現地調査を実施。調査結果に基づき、今後、改善のためのアクションを実行する予定。ウールについては、カシミヤ同様に評価と改善を進めていく予定。コットンについては、再生可能農業への適用可能性の検討を進めている。

 同社は同日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との間で、4年間にわたる新たなグローバルパートナーシップの合意書も締結。4年間で総額600万米ドル(約9億円)を拠出し、衣料支援、緊急支援、自立支援、コミュニケーション活動など多岐にわたる活動を支援する。年間1,000万着の衣料も提供。さらに、ユニクロのチャリティTシャツのプロジェクト「PEACE FOR ALL」では、利益の全額(1枚当たり20%相当)を、UNHCRをはじめとする3団体に均等に寄付する。

 同社は2006年からUNHCRと連携し世界の難民・国内避難民への衣料支援を行っており、2011年には、アジアの企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結している。

【参照ページ】「LifeWear = 新しい産業」 説明会を開催 持続可能な成長に向けたサプライチェーン改革を推進 原材料調達まで全工程を自社管理する生産体制へ
【参照ページ】ファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所がグローバルパートナーシップを強化

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