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【国際】FAO、1.5℃目標整合の農業・食料ロードマップ初提示。全10領域網羅。COP28

 国連食糧農業機関(FAO)は12月10日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、1.5℃目標と整合性のある農業・食料システムのグローバル・ロードマップを発表した。自然(生物多様性)と、栄養・飢餓に関する社会的影響の要素も統合して作成された。同様のロードマップは今回が初。

 今回の発表に関しては、機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」が2022年6月、FAOに対し自然及び栄養の安全保障目標に関する2050年までのグローバル・ロードマップの作成を要請。それを受け、FAOは2022年11月、第27回国連気候変動枠組条約シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、COP28までにグローバル・ロードマップを作成すると宣言していた。

【参考】【国際】機関投資家団体、FAOに食糧・農業ロードマップ作成要請。食糧システム危機に対応(2022年6月10日)
【参考】【国際】FAO、COP28までに食糧・農業ロードマップ作成計画発表。機関投資家の要請に応じ(2022年11月21日)

 同ロードマップ報告書は、畜産、漁業・養殖業、農作物、健康な日常食、森林・湿地、土壌・水、食品ロス・食品廃棄物、クリーンエネルギー、インクルージョン、データの全10領域を網羅。各領域で概ね2030年と2050年のゴールを設定した。また、10領域で合計120のアクションも設定した。


(出所)FAO

 今回のロードマップは、機関投資家視点で各企業が掲げる目標との整合性を確認するための基準を設けることに主眼が置かれている。エネルギー分野では、国際エネルギー機関の「世界エネルギー見通し(WEO)」で示されている「NZE2050」シナリオがあるが、FAOロードマップは、食料・農業分野のカーボンニュートラル実現シナリオとして使われていく見込み。

 温室効果ガスの排出削減では、2030年までに農業・食料システムのメタン排出量を2020年比で25%削減、2035年までにカーボンニュートラルを達成し、2050年までに農業・食料システムを炭素吸収源に変え、年間1.5Gtの温室効果ガスを吸収することを目標として掲げた。

 食糧と栄養に関しては、2030年までに慢性的な栄養不足を解消し、2050年までにすべての人が健康的な食生活を送れるようにすることを掲げた。さらに、2030年までに一人当たりの世界的な食品廃棄量を半減させること、食事パターンについて状況に応じた定量的な推奨を行うため、各国が食品に基づく食事ガイドライン(FBSG)を更新することもマイルストーンに含めた。

 FAOは今後、具体的なソリューションの掘り下げを実施。2024年のCOP29では地域毎の気候変動適応策やファイナンスのオプションを提示。2025年のCOP30では、国単位での具体的なファイナンスや政策パッケージまで示す計画。

 COP28では、世界152ヶ国・地域政府が、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名。同宣言は「エミレーツ宣言」とも呼ばれている。FAOは今回のロードマップを、エミレーツ宣言の実現をサポートする文書としても位置づけている。

【参考】【国際】COP28、152ヶ国が持続可能な食料・農業宣言に署名。水資源も焦点(2023年12月12日)

【参照ページ】COP28: FAO launches global roadmap process to eradicate hunger within 1.5°C limits

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 国連食糧農業機関(FAO)は12月10日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、1.5℃目標と整合性のある農業・食料システムのグローバル・ロードマップを発表した。自然(生物多様性)と、栄養・飢餓に関する社会的影響の要素も統合して作成された。同様のロードマップは今回が初。

 今回の発表に関しては、

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 国連食糧農業機関(FAO)は12月10日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、1.5℃目標と整合性のある農業・食料システムのグローバル・ロードマップを発表した。自然(生物多様性)と、栄養・飢餓に関する社会的影響の要素も統合して作成された。同様のロードマップは今回が初。

 今回の発表に関しては、

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 国連食糧農業機関(FAO)は12月10日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、1.5℃目標と整合性のある農業・食料システムのグローバル・ロードマップを発表した。自然(生物多様性)と、栄養・飢餓に関する社会的影響の要素も統合して作成された。同様のロードマップは今回が初。

 今回の発表に関しては、機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」が2022年6月、FAOに対し自然及び栄養の安全保障目標に関する2050年までのグローバル・ロードマップの作成を要請。それを受け、FAOは2022年11月、第27回国連気候変動枠組条約シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、COP28までにグローバル・ロードマップを作成すると宣言していた。

【参考】【国際】機関投資家団体、FAOに食糧・農業ロードマップ作成要請。食糧システム危機に対応(2022年6月10日)
【参考】【国際】FAO、COP28までに食糧・農業ロードマップ作成計画発表。機関投資家の要請に応じ(2022年11月21日)

 同ロードマップ報告書は、畜産、漁業・養殖業、農作物、健康な日常食、森林・湿地、土壌・水、食品ロス・食品廃棄物、クリーンエネルギー、インクルージョン、データの全10領域を網羅。各領域で概ね2030年と2050年のゴールを設定した。また、10領域で合計120のアクションも設定した。


(出所)FAO

 今回のロードマップは、機関投資家視点で各企業が掲げる目標との整合性を確認するための基準を設けることに主眼が置かれている。エネルギー分野では、国際エネルギー機関の「世界エネルギー見通し(WEO)」で示されている「NZE2050」シナリオがあるが、FAOロードマップは、食料・農業分野のカーボンニュートラル実現シナリオとして使われていく見込み。

 温室効果ガスの排出削減では、2030年までに農業・食料システムのメタン排出量を2020年比で25%削減、2035年までにカーボンニュートラルを達成し、2050年までに農業・食料システムを炭素吸収源に変え、年間1.5Gtの温室効果ガスを吸収することを目標として掲げた。

 食糧と栄養に関しては、2030年までに慢性的な栄養不足を解消し、2050年までにすべての人が健康的な食生活を送れるようにすることを掲げた。さらに、2030年までに一人当たりの世界的な食品廃棄量を半減させること、食事パターンについて状況に応じた定量的な推奨を行うため、各国が食品に基づく食事ガイドライン(FBSG)を更新することもマイルストーンに含めた。

 FAOは今後、具体的なソリューションの掘り下げを実施。2024年のCOP29では地域毎の気候変動適応策やファイナンスのオプションを提示。2025年のCOP30では、国単位での具体的なファイナンスや政策パッケージまで示す計画。

 COP28では、世界152ヶ国・地域政府が、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名。同宣言は「エミレーツ宣言」とも呼ばれている。FAOは今回のロードマップを、エミレーツ宣言の実現をサポートする文書としても位置づけている。

【参考】【国際】COP28、152ヶ国が持続可能な食料・農業宣言に署名。水資源も焦点(2023年12月12日)

【参照ページ】COP28: FAO launches global roadmap process to eradicate hunger within 1.5°C limits

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