ESG投資リサーチ・分析大手のサステナリティクス(Sustainalytics)は6月25日、ESG Bond(ESG債券)の開発のためにイギリスの大手銀行・保険グループ、Lloyds Banking Group(ロイズ銀行グループ)と提携したと発表した。
サステナリティクスは、Thomson Reuters社が実施しているIRRI(Independent Research in Responsible Investment)調査で2012年から2年連続で1位評価を獲得している独立系ESG投資リサーチ会社だ。オランダのアムステルダムを本拠として世界各国に140名以上のスタッフを抱え、ESG投資に関する専門リサーチ・分析結果の提供を通じて投資家を支援している。
同社はこれまで株式市場におけるESG投資の支援を取り扱っており、その専門性を活かし、今回初めてグリーン債市場におけるフレームワークを起草した。このフレームワークは、ロイズ銀行の中小企業向け融資の中でも特に社会・環境用途に関わる貸付の債権を通じた収益を目指しており、倫理的で社会的に責任ある投資を望む投資家に対して債権の適格性を保証するため、アルコールやギャンブル、たばこ、武器、ペイデイ・ローン(消費者金融の一種)を主たるビジネスとしている中小企業を構成から取り除くことを要求している。
また、このESG債券フレームワークの最大の特徴は、「詳細かつ透明性のある報告」が求められている点だ。今回のフレームワークの運用にあたっては、ロイズ社は債券の収益が完全に分配されるまで、適格資産に割り当てられた収益をまとめた上で四半期毎の運用報告を実施することになる。
また、収益が全て適格資産に割り当てられる場合には最終的な配分の報告も求められる。そしてこの四半期ごとの報告も最終報告のいずれも、第三者外部機関による監査・保証を受ける予定だ。
サステナリティクスのMichael Jantzi CEOは、「ロイズ社のESG債券のような革新的な金融商品は債券市場に新しい方向性を指し示し、持続可能で責任のある投資への道を作る一助となるだろう。我々は当社のサステナブル投資に関する専門知識を最大限に活用し、今回の債券の開発に向けてロイズ社を支援できたことを誇りに思う。この新しい債券は、イギリス全土の人々の生活に間違いなくポジティブな影響を与えるだろう」と述べた。
ロイズ銀行グループは今年の3月、同行の顧客が直面している重要な課題の解決に向けた戦略、HBP(Helping Britain Prosper)Planを発表したが、今回のESG債券の開発はその一環となる。
ロイズ社がESG債券を通じて集めた資金をどのような企業及びプロジェクトに投資し、イギリス社会にポジティブ・インパクトをもたらしていくのか、ぜひ今後の動きに期待したい。なお、今回サステナリティクスが発表したフレームワークは下記からダウンロード可能。
【ダウンロード】Sustainalytics’ framework for Lloyds ESG Bond(PDF)
【企業サイト】Sustainalytics
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