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【オーストラリア】首都地方政府、2020年までに再生可能エネルギー割合を100%へ

canberra

 首都キャンベラが位置するオーストラリア首都特別地域(ACT)政府のコーベル環境・気候変動相は4月29日、地区内電力の再生可能エネルギー割合目標について、昨年「2020年までに90%」としていた目標をさらに厳しくし、「2020年までに100%」とすることを発表した。地域電力を再生可能エネルギー100%とする目標は世界でもトップレベルの目標。コーベル氏は、環境対策の側面だけでなく、4億豪ドル(約320億円)の太陽光発電助成金による産業振興や雇用創出効果もあることを強調した。

 オーストラリア首都特別地域は、首都キャンベラ地域に特別に認められた行政区で、州政府と同様に議会や首相、大臣などが置かれている。キャンベラは首都ながら人口は約39万人と少ないが、それには歴史的な背景がある。かつて英国領オーストラリア時代に二大都市と呼ばれたのはシドニーとメルボルン、オーストラリア独立後にこの両都市が首都候補として名乗りを挙げ収拾がつかなくなった。そこで、シドニーとメルボルンの間に位置する田舎町キャンベラが1908年に首都に選ばれ、人口的な計画都市として発展を遂げてきた。

 オーストラリア首都特別地域議会は、2010年に「気候変動及び温室効果ガス排出削減法」を制定、温室効果ガス純排出量を2050年までにゼロ、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で40%削減という政府目標を定めていた。さらに議会は2013年、2020年までの温室効果ガス削減目標の達成のために、当時13%に過ぎなかった再生可能エネルギー割合を2020年までに90%とすることを決定していた。2012年に政府は、再生可能エネルギー90%を実現するために必要な電力量を試算、新たに490MWの新規電源が必要とし、91MWを太陽光、382MWを風力、20MWを廃棄物発電で実施する道筋を立てた。

 具体的な政策としては、太陽光、風力、廃棄物の大規模発電所を政府主導で企画し逆オークション形式(入札額の一番低い企業と契約を結ぶ競争入札制度)で企業に発注し、完成後は20年間の固定電力価格を決め、市中価格との差額を発電事業者に支払うという制度を導入した。逆オークション制度のもとで、2012年から2013年にかけメガソーラーファーム(大規模太陽光発電所)3ヶ所(設備容量合計40MW)の入札を実施、これらはすでに稼働している。2014年と2015年には風力発電所2ヶ所(設備容量合計400MW)の入札も完了した。今回の目標引き上げに際し、政府は当初新規で109MW分の入札をする計画だったが、これを200MWにまで増やす。

 固定価格制度のもとで政府が負担するコストは、2020年にピークを迎えオーストラリア首都特別地域の1家庭当たり毎週5.5豪ドル(約440円)となり、その後は市中価格の上昇とともに、減少に転ずると見ている。同時に政府は、節電に関する規制も制定しており、家庭の電力料金負担増分は、その節電分で相殺されるため、最終的には電力料金は増えないと想定している。

 キャンベラは小規模首都ながら、大胆な目標を掲げ、世界をリードし始めている。石炭大国のオーストラリアでは従来、石炭火力発電に大きく依存してきたが、首都からの再生可能エネルギー目標を受け、オーストラリア中央政府の動向にも注目が集まる。

【参照ページ】ACT to be powered by 100% renewable energy by 2020
【政府サイト】What Government is doing

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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