日本政府の経協インフラ戦略会議は7月27日、同会議で6月7日に決定した「インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)」に基づき、水分野の海外展開戦略を策定した。今回の戦略は、「インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)」が掲げる2020年に日本企業が約30兆円のインフラシステムを受注することを目指し、水分野のインフラシステム輸出の課題と方針を掲げたもの。内閣官房が全体をとりまとめ、経済産業省、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省等関係各省が協力した。
水は世界的に課題が大きい分野。2030年には水需要の40%が不足すると言われており、世界のインフラ投資需要の約3分の1は、水利用や水防災等の水分野と言われている。2020年には上下水道、海水淡水化、工業用水全体でインフラ需要が100兆円に達する見込み。
一方、日本は国内での水インフラ技術は高いものの、価格競争力やナレッジがエンジニアリング企業、メーカー、地方自治体等に分散しているため、海外の水インフラ市場における日本企業のシェアは1%に満たない。
今回策定の戦略では、水インフラ海外投資促進に向け、6つの重点項目を設定。まず、企業、地方自治体、独立行政法人等のナレッジ・スキルをパッケージ提案できる体制を構築する。また、水インフラプロジェクト発足前の水資源検討の段階から各国の政府に関与し、早期に需要を取り込めるよう動く。海外企業のパートナーシップも促進する。加えて、2017年5月に経済産業省がAPEC貿易大臣会合に提案した「水インフラの質に関するガイドライン」を提唱し続け、水インフラの質に関する需要を掘り起こしていく。
日本政府が2013年に初めて「インフラシステム輸出戦略」を掲げた際には、高効率石炭火力発電や原子力発電の海外売り込みに主眼が置かれたが、気候変動や原発の安全性への懸念を前に、反対に日本のブランドを下げる結果となってしまった。政府は今年から、水や省エネインフラ分野の注力分野のシフトを狙っている。一方で、政府が旗を振らなければ、海外インフラ投資が伸びないという弱さも内在している。
【戦略】第38回経協インフラ戦略会議(2018年7月27日) テーマ:水
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