
米第5巡回区控訴裁判所は8月25日、バイデン政権下の米証券取引委員会(SEC)が2023年10月に制定した2つのルールについて、ルール導入の経済的評価を再度実施するよう命じた。3つの金融業界団体が同ルールに反対するため2024年に提訴。今回、実質的に原告勝利となった。
【参考】【アメリカ】SEC、空売り関連データの開示ルール「13F-2」採択。集計データも公表(2023年10月18日)
原告になっているのは、全米私募ファンド運用者協会(NAPFM)、マネージドファンド協会(MFA)、オルタナティブ投資マネジメント協会(AIMA)。廃止を訴えていたのは、Securities Lending Rule(証券貸付ルール)とShort Sale Rule(空売りルール)の2つで、訴状では、双方のルールが相矛盾するアプローチを採用したと主張していた。
具体的には、両ルールは同じ空売り行為に関する開示ルールにもかかわらず、空売りルールは集計ベースかつ1か月遅れで公表を義務化する一方、証券貸付ルールでは、取引毎に翌日の公表を義務付けていた。訴状では、SECは矛盾を認識しつつ説明せず、相互作用や累積的な経済影響分析も行っておらず、行政手続法(APA)違反に該当する「恣意的かつ気まぐれ」と訴えていた。
また各々単独のルールについても、まず、空売りルールについては、既存のFINRA(金融業界自主規制機関)の報告制度を拡充すれば足る内容だったが、不必要に新ルールを制定したと主張。加えて、米国外で上場されている外国証券にも適用しようとしている点については、連邦議会がSECに与えている権限を超えた越権行為であり、さらに国際法上の域外適用の問題も孕んでいると指摘していた。
証券貸付ルールについても、ドッド・フランク法では「空売り情報は集計・定期的にのみ公開すべき」としているが、SECは個別・即時の開示を強制した点や、ルールの最終化において、パブリックコメントの募集を行わずに重要な変更(貸付規模の公表を20営業日遅らせる措置等)を行った点についても、手続き上の不備を突いていた。
控訴裁判所は今回、双方のルールを導入する際に、適切な経済的影響評価が実施されていないと判断。SECにルールの再検討を命じた。但し、同ルール規則が、投資家の機密ポジションを暴露するとの主張は、SECの権限外であるとの主張については退けた。SECは双方のルールの廃止ではなく、改訂を目指すとみられる。
【参照ページ】SEC must review Short Sale and Securities Lending Rules following AIMA's legal challenge
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