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【人権】紛争鉱物規制/OECD紛争鉱物ガイダンス・ドッドフランク法・CMRT・CFSI

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紛争鉱物とは何か?

紛争鉱物とは、紛争地域において産出され、その鉱物の売却資金が紛争当事者の資金源となり、結果的に紛争を長引かせることに加担することとなる鉱物のことを言います。今日では特に、後述するように、コンゴ民主共和国およびコンゴ民主共和国に隣接する国々で採掘されるスズ・タンタル・タングステン・金の4種の鉱物を指すことが多くなっています。この紛争鉱物として指定されている4つの鉱物、スズ(Tin)、タンタル(Tantalite)、タングステン(Tungsten)、金(Gold)は、一般的に英語の頭文字をとって”3TG”と呼ばれています。

紛争鉱物という概念が生まれてきた背景には、社会情勢が不安定な地域で紛争が続いている大きな要因の一つに、鉱物など天然資源が資金源として機能しているという問題意識があります。議論当初は、上記に上げた3TGではなく、ダイヤモンドが話題の中心にありました。1990年代、アフリカのアンゴラ、コートジボアール、シエラレオネでの内戦や周辺国との対立において、ダイヤモンドが紛争の資金源として機能していることを国連が指摘します。この紛争に加担するダイヤモンドは「紛争ダイヤモンド(Conflict Diamond)」「血塗られたダイヤモンド(Bloody Diamond)」と呼ばれ、2000年に国連安全保障理事会決議にも後押しあり、国際会議で紛争ダイヤモンドの取引規制が世界的にスタートしました。そして、この「紛争と天然資源」のつながりを断絶する動きが、工業鉱物資源にも及び、紛争鉱物(Conflict Mineral)という言葉が新たに注目を集めています。

問題の関心が、紛争ダイヤモンドから紛争鉱物へと拡大するにあたり、企業への影響度は著しく増加しました。高級品として名高いダイヤモンドは、宝石や一部研磨工具などダイヤモンド製品そのものとして売買、取引がなされることが多いのに対し、3TGは携帯電話やパソコン等の電子部品素材として、目に見えない形で身の回り品に含まれています。製品のコンポーネントの中に3TGが含まれているのかどうか、それが紛争地域で採掘されたものかどうか。工業製品を扱う世界中の企業が、この問いに対して明確な回答を用意しなければならない状況になりつつあります。

紛争鉱物の概念整理を行った「OECD紛争鉱物ガイダンス」

紛争鉱物の問題意識が結実したのは2009年。OECD(経済協力開発機構)の投資委員会と開発援助委員会が、国連安全保障理事会の要請を受けて、「紛争・高リスク地域産鉱物サプライチェーン・デュー・ディリジェンス・ガイダンス(「OECD紛争鉱物ガイダンス)」と略)」を共同策定しました。このガイダンスは、紛争地域の3TGを供給または利用するすべての企業を対象とし、サプライチェーンにおいて遵守すべき項目を整理。同ガイダンスは、2010年には国連安全保障理事会でも支持され、2011年にはOECD理事会(OECDは先進国を中心に34カ国が加盟する国際機関)が同ガイダンスに基づく法整備をOECD加盟国・非加盟国双方に対して推進することを求める勧告決議が採択されます。同ガイダンスは、法的拘束力はないものの、各国の政策に大きな影響を与えるものとなっています。

では、OECD紛争鉱物ガイドラインが対象としている「紛争地域」は何を指すでしょうか?ガイドラインの中では、

“紛争地域および高リスク地域は、武力による紛争、広範にわたる暴力、もしくは人々に危害が及ぶその他のリスクの有無によって識別される。武力による紛争は様々な形をとることがあり、例えば、2ヵ国ないしそれ以上が関与することもあれば、解放戦争、反乱、内戦などによることもある、国際的もしくは非国際的対立などである。高リスク地域には、政情不安や抑圧、制度上の欠点、不安定などが見られる地域や、国内のインフラが崩壊した地域、さらに暴力が広範におよんでいる地域などがある。これらの地域では広範におよぶ人権侵害や、国内法または国際法違反が見られる。”

と幅広く定義しています。今後、様々な国際会議や各国政府は、規制をかける「紛争地域」を定義し、3TGの取扱規制を進めていく様相です。

紛争鉱物の法規制:米ドッド・フランク法

2009年にOECDで紛争鉱物ガイドラインの議論が活発化した後、紛争鉱物に関する大規模な法規制が世界で初めて制定されたのが

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夫馬 賢治

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所所長

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