【アメリカ】カリフォルニア州、除草剤ラウンドアップ成分のグリホサートの発がん可能性を認定 2017/07/09 最新ニュース

 カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)は、世界中で使われているモンサント社の除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」の成分であるグリホサートに発がん性の可能性があるとして、7月7日に「カリフォルニア州法プロポジション65」が定めるリストに追加すると発表した。同リストに掲載されると、企業は同物質を含む化学製品をカリフォルニア州内で販売する際にパッケージに警告表示が義務付けられる。また、OEHHAが危険と判断する量のグリホサートを散布する際にも警告を出す義務を負う。これに対してモンサント社は、「科学と法に基づく正当性を欠く」として、法廷闘争を継続する考え。

 カリフォルニア州法プロポジション65(1986年安全飲料水及び有害物質施行州法)は、有害化学物質が人体に入り込むのを防止するため、飲料水の水源への混入防止、人への有害化学物質の暴露の防止を定めている。今回の決定は、2015年に世界保健機関(WHO)の外部専門組織である国際がん研究機関(IARC)が、グリホサートを「2A(人に対する発がん性がおそらくある)」に分類したことに基づいている。2015年5月に有力医学誌「ランセット」でもグリホサートの発がん性に関する発表が掲載されたことを契機に、グリホサートへは厳しい見方が生まれてきている。

 OEHHAが、グリホサートを「プロポジション65」リストに掲載する動きをしたことに対し、モンサントは一審である同州の事実審裁判所(Trial Court)に訴え抵抗。しかし、第一審、州控訴裁判所、州最高裁判所のいずれも、モンサントの訴えを認めなかった。これにより、OEHHAは、ラウンドアップのリスト入りを最終決定した。

 背景となったIARCの判定では、2015年3月に11カ国から招聘した17人の専門家により、グリホサートおよび4種類の殺虫剤とがんとの関係を検証。5月に発表された研究の概要には、「グリホサートの人における発がん性の根拠は限定されていた」と明確に記述されていた。しかし、その後、関連性を示す動物実験の報告書が提示され、またアメリカ、カナダ、スウェーデンでの症例対照研究で他の除草剤と比べ非ホジキンリンパ腫の発生リスクが高いことも報告された。また、農業従事者の血液や尿からもグりホサートが検出され、同物質が人体に対し浸透性があることも示された。その結果、IARCは最終的にグリホサートをA2に分類する判断を下した。

 だが、このIARCの論文に対しては、多くの疑義も投げかけられている。2005年1月の「Environmental Heath Perspectives」に掲載された論文は、IARCの研究と相反する内容が示された。また、54,000人以上を対象としたコホート研究(特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象の疾病発生率を比較)による大規模な「農業健康調査」では、グリホサートとがんの発症との関連性は見つからなかった。IARCによる分類には根拠となるデータ、特に人に関するデータが不十分だとする論文も発表されており、またIARCは招聘した毒物学研究者に対しデータを非公表することを要請したこともメディアに取り上げられている。IARCの判定については、依然科学者の間で激しい論争が展開されている。

 IARCによると、グリホサートを成分とする製品は、世界750種類以上。除草剤としては世界で最も多く製造・販売されている製品の一つで、農場、ゴルフ場、果樹園、ブドウ園等に加え、一般家庭のガーデニングにも関連製品が使用されている。日本では、厚生労働省が2016年1月1日から、グリホサートを「有害物暴露作業報告」の対象に指定し、年間500kg以上製造・取扱する事業場は、対象化学物質の用途、労働者が行う作業の種類、製造・取扱量、対象化学物質の物理的性状、温度等を報告することが義務化された。しかし、日本でも、グリホサートはホームサンター、DIYショップ、ネット等で販売されている。

 モンサントが開発した「ラウンドアップ」は、遺伝子組換え作物(GMO)との関連で語られることも多い。ラウンドアップは、作物の育成を阻害する雑草を排除するための除草剤として開発されているが、ラウンドアップは強力なため作物そのものも痛めつけてしまう。モンサントは、ラウンドアップに耐性のある遺伝子組換え作物(GMO)の種を開発、販売するとともに、除草剤のラウンドアップを販売することで、生産性の高い農業が実現できると推進。現在、ラウンドアップを用いた農業を行っている国は少なくなくない。

【参考ページ】California to list herbicide as cancer-causing; Monsanto vows fight
【参考ページ】Exclusive: WHO cancer agency asked experts to withhold weedkiller documents
【論文】Carcinogenicity of tetrachlorvinphos, parathion, malathion, diazinon, and glyphosate
【州法】プロポジション65
【判定】IARC use of oxidative stress as key mode of action characteristic for facilitating cancer classification: Glyphosate case example illustrating a lack of robustness in interpretative implementation

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る