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【日本】金融庁、スチュワードシップ・コード再改訂版発行。ESG・サステナビリティ前面に

 金融庁は3月24日、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」がとりまとめたスチュワードシップ・コード再改訂版を発行した。機関投資家に対し9月末までの受け入れ可否や公表を求めた。金融庁は2019年12月に原案を発表し、パブリックコメントを募集していた。今回が第3版となる。

【参考】【日本】金融庁、スチュワードシップ・コード第3版の原案発表。ESGエンゲージメントを明記(2019年12月22日)

 今回の改訂では、機関投資家の「スチュワードシップ」の大原則として、「機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)など」から、「機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG 要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)など」に変わり、企業のサステナビリティに関するエンゲージメントを実施することが明記された。

 さらに、上場株式での運用を行う機関投資家のみがスチュワードシップ・コードの適用対象だったが、今回、他のアセットクラスの機関投資家も「適用することが可能である」とし、範囲を拡大した。

 今回、アセットオーナーにとってのスチュワードシップの意味に関し、大規模なメスが入った。まず、前回版では「アセットオーナーは、最終受益者の利益の確保のため、可能な限り、自らスチュワードシップ活動に取り組むべきである。また、自ら直接的に議決権行使を含むスチュワードシップ活動を行わない場合には、運用機関に、実効的なスチュワードシップ活動を行うよう求めるべきである」となっており、まずは「可能であれば」自らのスチュワードシップ活動を、そうしない場合は運用会社に促すという構造だったが、今回は「可能な限り」が削除され、そうしない場合にという文言も全削除した。一方、多くのアセットオーナーが運用会社を通じて投資運用を行っていることを念頭に、運用会社へスチュワードシップ活動を要求するよう求めた。その上で、自家運用をしている場合は、自らもスチュワードシップ活動を行うよう求めた。

 アセットオーナーについては、スチュワードシップ活動への熱心さが依然として見られない企業年金に向けたメッセージにもなっている。スチュワードシップ活動の実践では「自らの規模や能力等に応じ」という文言を盛り込み、言い訳を封じる構造にはならなかった。

 また、原則の8つ目として、「機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである」が加わり、業務発注している年金運用コンサルタントや、議決権行使助言会社に対し、利益相反の防止、情報の正確性を求めていくことが盛り込まれた。特に議決権行使助言会社の利益相反については、EUで先行していた議論を踏襲した形となった。

 議決権行使開示では、行使結果に加え、今回行使理由の開示も求めた。

 一方、エンゲージメント時に、株主保有数を説明することが望ましいとしていた注記文言は、パブリックコメントの中で反対意見が多く、「望ましい場合もある」にトーンダウンした。

 他の論点では、EUや英国では、投資運用でもESGを考慮することを義務化するルールが生まれてきているが、日本の第3版では、ESG考慮はエンゲージメントのみにとどめ、投資運用には触れなかった。

【参照ページ】スチュワードシップ・コード(再改訂版)の確定について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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