英サディク・カーン・ロンドン市長は7月17日、2030年までにロンドン地下鉄を再生可能エネルギー電力へ切り替えるため、ロンドン交通局(TfL)が運用する再生可能エネルギーの需給および計画の概要を公表した。サディク・カーン市長は、2030年までにロンドンの地下鉄網を、2050年までにロンドン全体を、二酸化炭素の排出量ゼロ(カーボンニュートラル)にする政策を掲げている。
ロンドン地下鉄は、年間で1.6TWhの電力を消費しており、英国全体で見てもその消費電力規模が大きい。電力は現在、英ナショナル・グリッドから直接調達しているが、火力発電も含むため二酸化炭素を排出している。そのため今後は、電力購入契約(PPA)を通じ、風力発電や太陽光発電での調達を拡大し、再生可能エネルギーの比率を段階的に高めていく方針を示した。今年中には、TfLの財政委員会からの承認を獲得し、2022年の春までには需要の10%を満たす再生可能エネルギーを購入する予定である。
サディク・カーン市長は今回、PPAの締結に先駆け、ロンドン地下鉄を再生エネルギー電力で賄う実証テストを開始することを発表。公募要件を公表した。当該実証テストは、TfLの定める要件に見合う企業を選定することを目的とするが、同時にグレーター・ロンドン・オーソリティ(GLA)グループの潜在的な需要を満たす能力があるかどうかも評価される。GLAグループには、TfLの他に、London Fire Commissioner(LFC)、Mayor’s Office for Policing and Crime(MOPAC)、London Legacy Development Corporation(LLDC)、Old Oak Common and Park Royal Development Corporation(OPDC)が含まれており、GLAグループの年間電力消費量は143GWh。
さらに、サディク・カーン市長は、地方自治体の事務所、学校、レジャーセンターなど、広範に渡る公共部門を再生可能エネルギーで満たす機会も検討しており、すべての需要を考慮すると年間約3TWhに達する見込み。
ロンドンは他国同様に、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で打撃を受け、財政的にも厳しい環境に直面している。そうした中でも、復興の軸として長期的な費用対効果が得られるものや、気候変動への迅速な対策に繋がるものを優先的に捉え、グリーンリカバリ-の一環として本計画の実現に加速を増している。
今回の公表には、英NPOのAssociation for Renewable Energy and Clean Technologies や国際環境NGOグリーンピース・UKらから、賛同の声が上がっている。
【参照ページ】Mayor moves forward with plans to power TfL Tube with green energy.
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