化学世界大手米ダウは7月29日、高精度ポリエチレン樹脂製品シリーズ「INNATE」の新たなラインナップとして、包装フィルム「テンターフレーム二軸延伸用ポリエチレン(TF-BOPE)フィルム」を商業向けに展開すると発表した。原料はポリエチレンのみの単一素材。業界で広がる「高性能」「消費者の利便性」「リサイクル性」を備えた商品のニーズに応えていく。
プラスチックのリサイクルは難しく、その原因の一つとして、多くのプラスチックが単一素材ではなく、ポリエチレンやポリプロピレン等複数の材料を合わせて作る複合素材であることが挙げられる。プラスチックリサイクルの中で最も普及しているマテリアルリサイクルをするためには、同じ種類のプラスチック素材のみを集める必要がある。ダウは今回、単一素材にすることで、この課題をクリアした。
高精度ポリエチレン樹脂「INNATE」とは、ダウ独自の技術の名称で、「強度」「硬度」「強靭性」「耐久性」「加工性」「ブレンド性」「持続可能性」すべてを単一素材で実現し、さらに顧客の用途に合わせて設計することを可能にするもの。テンターフレームとは、製造の際に使用する幅出機のことで、二軸延伸フィルムとは、製膜を行う際にフィルムを縦と横に引っ張って製造された製品。
ダウは、TF-BOPEフィルムの具体的な特徴を「透明性や光沢性の高さ」「従来のポリエチレンフィルムに比べてヘイズが最大80%低下」「2倍の衝撃強度と引張係数」「従来のインフレーションポリエチレンフィルムに比べて3倍の突刺強度と引張強度」「低温下にも対応可能な優れた強靭性」「消費者が開封しやすい技術の提供」等と挙げた。
同社は、TF-BOPEフィルムの商業用途に向け、すでに中国のGuangdong Decro Film New Materials、CaiHua、NanCheng、KAIDAグループなどとコラボレーションしており、米袋、ペットフード用パッケージ、輸送用梱包パッケージ、液体洗剤用パッケージ等の商品化に対応している。乾燥食品や液体向けに、ピローパウチおよびスタンドアップパウチとして提供が可能。
同社は、今回の発表を実現するまでに10年以上の歳月をかけ、特に同社のアジア太平洋地域の研究開発チームは、この10年で世界のパッケージ市場の展望や動向を追及し続けてきたという。同社は、TF-BOPEフィルムで実現したフィルムの薄さやリサイクル性の高さが、プラスチック廃棄物の問題に対する新たなソリューションになるとの期待を示した。
【参照ページ】The Future of Sustainable Packaging: Dow introduces INNATE™ TF Polyethylene Resins for Tenter Frame Biaxial Orientation
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら