
米ジョー・バイデン大統領は5月14日、米通商代表部(USTR)に対し、1974年通商法301条(スーパー301条)に基づき、中国からの輸入品180億ドルに対する関税を2024年中に引き上げるよう指示した。中国は、人為的に低価格化した輸出品で世界市場を氾濫させていると指摘した。
米国通商代表部は2022年5月、スーパー301条に基づく措置として、中国の技術移転、知的財産及びイノベーションに関連する行為、政策及び慣行に関する調査(301条調査)を開始。2018年7月6日及び2018年8月23日の措置の法定4年レビューを実施していた。今回の措置はそれに基づくもの。
今回の関税引上げ対象は、「電気自動車(EV)」「鉄鋼、アルミニウム」「半導体」「バッテリー、バッテリー部品、重要鉱物」「太陽電池セル」「ガントリークレーン」「医療用品」の7品目。
EVに対しては、関税を25%から100%に引き上げる。中国のEV輸出は2022年から2023年にかけて70%増加しており、EVに対する100%の関税率は、中国の不公正な貿易慣行からアメリカの製造業者を保護するとコメントした。
鉄鋼・アルミニウムに対しては、関税を現行の0%から7.5%という水準から25%に引き上げる。米国の労働者は中国の非市場的な過剰生産能力との不公正な競争に苦しめられていると言及した。
半導体と太陽電池セルに対しては、関税を25%から50%に引き上げる。ガントリークレーンに対しては、関税を0%から25%に引き上げる。
バッテリー、バッテリー部品、重要鉱物に対しては、EV用リチウムイオン電池と電池部品の関税を2024年中に7.5%から25%に引き上げる、その他の特定重要鉱物の関税は2024年に0%から25%に引き上げる。EV用以外のリチウムイオン電池の関税は2026年に7.5%から25%に、天然黒鉛と永久磁石の関税は2026年に0%から25%に引き上げる。
医療用品では、注射器と注射針は、2024年に0%から50%に、特定の呼吸器やフェイスマスクを含む特定の個人用保護具(PPE)は、2024年に現行の0%から7.5%の水準から25%に引き上げる。医療用ゴム手袋と手術用ゴム手袋は、2026年に7.5%から25%に引き上げる。
今回の措置は、2024年大統領選挙を意識したもの。バイデン大統領は、記者会見の中で、労働組合におもねた発言を繰り返しており、労働組合からの支持をとりつける意思をうかがわせた。
ラエル・ブレイナード国家経済会議議長や政府高官は、記者会見の中で、今回の措置の背景を説明。国家安全保障ではなく、中国の過剰生産に焦点を当てたロジックを打ち出したことを伝え、中国にも理解が得られるだろうとの考えを表明した。
【参照ページ】FACT SHEET: President Biden Takes Action to Protect American Workers and Businesses from China’s Unfair Trade Practices
【参照ページ】Memorandum on Actions by the United States Related to the Statutory 4-Year Review of the Section 301 Investigation of China’s Acts, Policies, and Practices Related to Technology Transfer, Intellectual Property, and Innovation
【参照ページ】Remarks by President Biden on His Actions to Protect American Workers and Businesses from China’s Unfair Trade Practices
【参照ページ】Background Press Call by National Economic Advisor Lael Brainard and Senior Administration Officials on President Biden’s Actions to Protect American Workers and Businesses from China’s Unfair Trade Practices
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