
日本政府は11月6日、高市早苗首相を議長とする第9回日本成長戦略会議を首相官邸で開き、年末に策定する「日本成長戦略実行計画」の案を示した。17の戦略分野と62の主要製品・技術を3つの区分に整理し、洋上風力発電、次世代型太陽電池、水素、グリーンスチール、次世代革新炉等のGX関連分野を多く盛り込んだ。データセンター等による電力需要の増加を踏まえ、「電力インフラへの対応」を当面の4課題の一つに位置付けた。
今回の会議では、実行計画の策定に向けた案と、「足元の収益源」に関する事業者ヒアリングが議題となった。ヒアリングにはキオクシア、イビデン、ソフトバンク、川崎重工業、中外製薬、武田薬品工業等が参加した。日本成長戦略と官民投資ロードマップは2026年7月21日に決定済みで、今回の実行計画はそれを具体的な施策と投資計画に落とし込むものとなる。
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実行計画案は、17の戦略分野と62の主要製品・技術を「足元の収益源」「今後の稼ぎ頭」「経済安全保障」の3区分に整理。足元の収益源には半導体、バーティカルAI、洋上風力発電、GXケミカル、AI 等を活用した複合新素材、クラウド・データセンター・蓄電池、防災技術、ライフログデータ等を活用したヘルスケア関連サービス、革新的デバイスを活用した先端医療、ゲーム・アニメ等のコンテンツ分野、ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品、バイオ医薬品・再生医療等製品等、デュアルユース技術が並んだ。
今後の稼ぎ頭には、フィジカルAI、自動運転技術、オール光ネットワーク、次世代ワイヤレス、量子、次世代型太陽電池、水素、グリーンスチール、次世代型地熱、次世代革新炉、フュージョンエネルギー、植物工場・陸上養殖等のフードテック、民間航空機、空飛ぶクルマ、バイオものづくり分野が入った。
経済安全保障の区分には、重要鉱物やリサイクルを含むマテリアル、海底ケーブル、次世代船舶、無人航空機、ロケット・射場、人工衛星・サービス、月面探査・低軌道技術、海洋無人機・海洋状況把握、革新的海底開発技術・システム、感染症対応製品、港湾ロジスティクスが位置付けられた。加えて、その他として、セキュリティの確保された政府・地方公共団体の AX/DX 基盤、クラウドネイティブに最適化された医療DX基盤の2つも盛り込まれた。
このうち、2040年度までの経済波及効果や経済安全保障の観点での波及効果(産業全体に影響が生じるもの)が大きいものなどを「重点項目」として、重点的に検討していくこととし、半導体、バーティカルAI、フィジカルAI、自動運転技術、オール光ネットワーク、次世代ワイヤレス、量子、クラウド・データセンター・蓄電池、次世代型太陽電池、植物工場・陸上養殖等のフードテック分野、次世代船舶、マテリアル、デュアルユース技術、ゲーム・アニメ等のコンテンツ、ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品、バイオ医薬品・再生医療等製品等、革新的デバイスを活用した先端医療が選ばれた。
同計画は、基本的な考え方、17分野の重点施策、分野横断の8つの課題、当面の4つの課題で構成される。投資の対象期間はおおむね今後5年間、2030年頃までを集中投資期間とし、官民の投資額と成果目標を盛り込む。政府予算は主に「強く豊かな日本投資枠」の複数年度事業で手当てする方針。
また別途、当面の4課題として、建設業の担い手確保、成長分野への資金供給、電力インフラへの対応、AI活用による変革(AX)の4つが挙げられた。電力インフラについては、データセンターや半導体工場による電力需要の増加に対応し、電力の制約で国内投資の機会が失われる事態を防ぐことを目的に掲げた。具体策として、供給力の確保、早期の系統接続に向けた送電線の利用ルールの見直し、大規模需要を効率的な立地へ誘導すること、データセンターの電力効率の向上、電力インフラ整備のための人材・機材・資金の確保を示した。電力インフラが建設業の担い手確保や資金供給と並んで挙げられたことは、成長投資の実行段階で、人手と電力と資金が共通のボトルネックになるとの政府の認識を示している。
高市首相は会議で、日本銀行が保有ETFの売却加速を決めたことを受け、追加の売却収入を経済安全保障の重点プロジェクト向けに新設する特別会計の財源に充てる考えを示した。つなぎ国債の発行で資金を前倒しで確保できるようにし、詳細は予算編成の過程で検討するとした。あわせて、各府省の幹部を「日本成長戦略推進官」に任命した。
17分野62品目は、今後の予算や税制、規制改革の優先順位を示す地図となる。GX関連の製品・技術を持つ企業にとっては、政府の投資枠や需要創出策を活用する機会が広がる一方、年末に示される官民の投資額と成果目標が、事業計画の前提として妥当かを見極める必要がある。電力インフラが当面の課題に挙がったことは、電力多消費の設備投資を計画する企業にとって、系統接続の時期や立地が投資判断を左右する時代に入ったことを意味する。
【参照ページ】日本成長戦略会議(第9回)
【画像】首相官邸
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