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【アメリカ】NIST、量子コンピューター時代のサイバー攻撃対策アルゴリズムで3標準規格決定。全てIBM

 米商務省所管の国立標準技術研究所(NIST)は8月13日、量子コンピューターからのサイバー攻撃に耐えられるよう設計された暗号化アルゴリズム基準「耐量子計算機暗号標準」に関し、3つの標準規格を最終決定した。いずれもIBMが開発に関係した規格で、量子コンピューター時代のセイバーセキュリティでIBMの優位性が確保された形となった。

【参考】【国際】IBM、量子コンピューティング時代のセキュリティ・ツール発表。米政府標準レベル(2023年5月22日) 【参考】【国際】世界経済フォーラム、サイバーセキュリティで15の重要対策発表。リスクの複雑さ高まる(2020年11月29日)    量子コンピューター技術の開発は、いま世界中で進められているが、量子コーンピューターの高度な計算力が実現すると、サイバーセキュリティやプライバシーの防御が破られ、システムの脆弱性がいっきに高まると予想されている。専門家の中には、現在の暗号化手法を破る能力を持つデバイスが10年以内に登場するという声もある。NISTは、「耐量子計算機暗号標準」を将来に向けた備えとして、先行してアルゴリズムの標準化を進めてきていた。

 NISTは2015年、量子コンピューターからの潜在的脅威に対抗するため、量子耐性アルゴリズムの選定と標準化に着手。世界中の暗号専門家を集め、量子コンピューターの攻撃に対抗できる暗号アルゴリズムの評価を実施し、25カ国から82個が提出されていた。そこから上位15個を特定し、最終候補と代替アルゴリズムに分類され、2023年にCRYSTALS-Kyber、CRYSTALS-Dilithium、Sphincs+、FALCONの4つを最終候補に選定し、標準化案を発表していた。そこから今回3つが標準規格として最終決定された。今回最終決定した標準規格は、暗号化アルゴリズムのコンピューター・コード、実装方法、使用目的までカバーしている。

 今回、最終発表されたアルゴリズム規格は、

  • 連邦情報処理標準(FIPS)203:IBMが開発した「ML-KEM」。当初名は「CRYSTALS-Kyber」。暗号一般用途
  • 連邦情報処理標準(FIPS)204:IBMが開発した「ML-DSA」。当初名は「CRYSTALS-Dilithium」。デジタル署名用途
  • 連邦情報処理標準(FIPS)205:IBMに入社した研究者が開発した「SLH-DSA」。当初名は「SPHINCS+」。デジタル署名用途で、ML-DSAが脆弱であることが判明した場合のバックアップ規格として意図されている。

 また、最終候補に残っていた4つ目のアルゴリズム規格に関しても、標準規格化に向けた作業が続けられている。最終決定された場合の名称も今回発表された。

  • 連邦情報処理標準(FIPS)206:IBMが開発した「FN-DSA」。当初名は「FALCON」

 さらにNISTは、追加のバックアップ規格として、2つの標準規格検討も続けている。1つ目は、ML-KEMが突破された場合のバックアップ規格として、異なる数学的手法を用いたアルゴリズム。現在3つのアルゴリズムが最終候補として残っており、NISTは2024年末までに、1つか2つを最終決定する予定。

 もう一つは、デジタル署名用の追加規格で、現在、候補が15個あり、次の段階に進むものを選定している。NISTは2016年に最初のアルゴリズム公募を実施したが、その後の新たなアイデアも検討候補とするため、2022年にアルゴリズムの追加公募を実施。候補リストが一気に拡大した。

 NISTは今回、コンピューターシステム管理者に対し、追加バックアップ規格の如何を問わず、今回最終決定された3つの標準規格にできるだけ早く移行するよう奨励した。

【参照ページ】NIST Releases First 3 Finalized Post-Quantum Encryption Standards 【参照ページ】IBM-Developed Algorithms Announced as NIST's First Published Post-Quantum Cryptography Standards

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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