
米消費者金融保護局(CFPB)は10月23日、アップルとゴールドマン・サックスに対し、連邦消費者金融保護法と公正信用貸付法への違法行為を認定。ゴールドマン・サックスに対し、被害者の補償金1,980万米ドルと民事制裁金4,500万米ドルの支払いを、アップルに対し民事制裁金2,500万米ドルの支払いを命じた。また、ゴールドマン・サックスに対し、コンプライアンス計画が提示されるまでの間、新たなクレジットカードの発行を禁止した。
今回の事案は、アップルがゴールドマン・サックスと提携し、2019年8月に開始した「アップル・カード」発行に関するもの。さらに2019年12月に両社は、「Apple Card Monthly Installments」機能を新規導入し、アップル製品の販売に対しても割賦販売サービスを開始。ゴールドマン・サックスが、消費者への与信と口座管理を担当している。
CFPBは、同サービスは、2016年に「マーカス」ブランドを立ち上げて消費者金融事業に参入したゴールドマン・サックスにとって、一気に市場でのプレゼンスを確保する機会となったと判断。また、アップルにとって、同社の端末の販売促進につながるものとなったとも判断した。
今回の行政処分では、アップルとゴールドマン・サックスが、アップル製品の無利子支払いプランについて消費者を欺いていたと判定。多くの顧客は、アップル・カードでアップル製品を購入すると、自動的に無利子月払いができると考えていたが、実際には、無利子支配プランの適用には登録申請が必要であり、加えてSafariブラウザを使用している消費者に対してのみ同無利子プランをオプションとして提示していた。結果、アップル・カード保有者数千人が有利子のリボルビング払い扱いとなり、金利を支払う状態となっていた。
さらに、アップル・カードの月賦払いプランを利用するカード保有者は、プラン残高と有利子リボルビング残高の2つの残高を実質的に抱えることになるが、1万人以上のカード保有者に対し、ゴールドマン・サックスは、2つの残高間の特定の返金の適用方法について、説明された有利子リボルビング残高ではなく、無利子プラン残高に充当されていた。その結果、消費者は予想外の追加金利を負担することにもなっていた。
また今回の行政処分では、アップルとゴールドマン・サックスの業務分担と連携の不備も処分内容とした。まず、連邦法では、消費者が取引の不備に関する異議申立を行った場合、金融機関は問題の発生原因を迅速に調査しなければならないとされているが、アップルは、Walletアプリの「問題を報告」機能を通じて提出されたが案件のうち、その後にメッセージアプリを通じて詳細情報の提供の求めに応じなかった案件についてはゴールドマン・サックス側に通知していなかった。ゴールドマン・サックスは、同事項についてアップル側に警告した後も、アップル側は適切に改善してなかった。
さらに連邦法では、銀行に対し、異議申立案件について、30日以内の確認通知送付、90日以内に調査結果の説明を義務付けているが、ゴールドマン・サックス側も、アップルから通知された案件について、同義務を果たしていなかった。
加えて、CFPBは、2019年のアップル・カードのサービス開始当初にも、両社が事業開始を焦ったことを追及している。両社の契約では、ゴールドマン・サックスがサービス開始を90日間遅延毎に2,500万米ドルの違約金をアップルに課す権利をアップルに付与していた。サービス開始の4日前には、ゴールドマン・サックス取締役会は、技術的な問題によりアップル・カードの重要な紛争処理システムが「完全に準備できていない」ことを知っていたが、両社はそれでもサービス開始を強行したという。
【参照ページ】CFPB Orders Apple and Goldman Sachs to Pay Over $89 Million for Apple Card Failures
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