【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[最新版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等) 2015/02/24 体系的に学ぶ

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 ここ数年、世界のエネルギーや発電に関する状況は様変わりしました。まず、東日本大震災を機に日本でも世界でも原子力発電に関する否定的な考え方が強くなりました。また、アメリカでのシェール革命により天然ガスや石油の価格が急落。化石燃料の輸出入ルートも大きく変化しました。その中で、日本のエネルギー・電力の供給量割合がどのように変化したのか、ご紹介していきます。

日本のエネルギー・発電の供給量割合

日本の発電電力量割合の推移
(出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014

 こちらは2014年度に経済産業省エネルギー庁が発表している「エネルギー白書」のデータです。この表は、一般電気事業者が、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)で、どの程度の発電を行っているかを示しています。ちなみに、一般電気事業者とは、いわゆる「電力会社」10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)を指しています。この推移から、日本の発電の歴史が垣間見られます。発電の主要電源は、1965年頃までは水力、1973年の第一次オイルショックまでは石油、そしてその後は石油に変わって石炭とLNG、そして原子力が担っていきます。2011年の東日本大震災以降は、原子力発電の割合がほぼゼロにまで減り、その減少分の大半をLNGがカバーしています。

 2012年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.5%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に88.4%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。

 歴史の長い水力発電は一般水力と揚水発電を合わせて8.4%。揚水発電とは何かは後ほど説明します。一方、期待されている再生可能エネルギーは1.6%。こちらも2009年当時は1.1%でしたので、0.5%伸びましたが、それでも割合は非常に小さいと言わざるをえません。もちろん、政府の電力固定価格買取制度導入以降、学校や民間などで積極的な再生可能エネルギーの導入がありましたが、今回のデータは電力会社だけが対象となっていますので、その増加分は反映されていないことは注記しておきます。

 発電総量が2010年以降減少していることも、興味深いポイントです。東日本大震災から約4年経ち、市民の生活にはほぼ節電の印象はなくなりましたが、実際には電力会社の発電総量は当時には戻っていません。日本が発電量を減らしながら持ちこたえている背景には、企業による節電努力があると言えそうです。

各電力源の状況

水力発電(一般水力・揚水水力)

 上記のグラフからの分かるように、1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、1975年に日本で落差最大の黒部ダムが完成した頃からほぼ変化していません。水力発電は、維持コストが低く、CO2排出のない自然エネルギーである反面、ダム建設時の莫大なコストと水没による社会・環境コストが大きく、世界的な統計でも水力発電は、再生可能エネルギーとして扱われるケースと扱われないケースがあり、意見が分かれています。日本で水力発電が伸長しなかった背景には、1990年代以降の公共事業の見直し、2001年に当時長野県知事であった田中康夫氏が掲げた「脱ダム宣言」があり、大規模工事となるダム建設に社会全体が慎重になっていくという状況の変化がありました。

 また、2014年には揚水式水力発電が0.9%を担っています。こちらも水力発電ですが、少し特殊な発電方式です。揚水式発電とは、電力需要の少ない夜間に電気を使ってポンプを動かし水を高地に引揚げ、電力需要の多い昼間に、その水を使って水力発電を行うというものです。電力を使って発電をするという方式のため発電総量を増やすことには寄与しませんが、昼間の最大電力量を増やすという需給バランス調整として利用されています。

 昨今では、再生可能エネルギー型の水力として「中小水力発電」にも注目が集まっています。こちらは巨大なダム施設を建設するのではなく、河川の自然の急流を利用して発電をするという中型・小型のタイプです。中小水力発電は、一般的な水力発電が持つ巨大な初期投資や水没というデメリットがないのですが、規模が小さくやはり発電量そのものが小さくなってしまったり、河川の生態系へも悪影響を与えるという懸念もあり、日本ではほとんど建設されていません。

石油等

 日本の火力発電は当初は石油が主要燃料でした。その背景には、中東からの石油販路の確保がありました。

石油輸入量(出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014

 こちらは1960年から2005年まで長期に渡る日本の原油輸入量の推移です。1960年から1973年にかけて、急速に原油の輸入量が増加していったことがわかります。当時の日本は高度経済成長期ですので、日本の電力及びガソリン需要の増加していました。そしてその電力需要を賄うために、発電所建設コストの低い火力発電所の建設ラッシュが起き、その燃料として原油が用いられていました。

 しかし、1973年から原油の輸入量は減少に転じます。第一次石油ショックです。発電を原油だけに依存することのリスク認識が高まっていきます。また、同時にマイカー時代の到来を支えるため、原油をガソリンに回す必要も出てきました。そんな環境下で、1975年、第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が開催され、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」が採択、石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれました。その後も日本では、既存の石油火力発電所についても、石炭またはLNG火力発電への転換が促進されていきました。結果、火力発電の主役は、石炭やLNGに変わっていきます。

 その後、東日本大震災まで石油での火力発電は減少の一途を辿ります。2012年からは増加に転じましたが、それ以上に石炭・LNGでの発電量は増えています。今でも火力発電と石油を結びつけて考えられることが多いですが、発電における石油の割合は大きくはありません。もちろん、原油はガソリンという貴重なエネルギー源でもありますので、エネルギー全体にとって重要性が低いわけでは決してありません。原油の輸入元も、過去しばらくは中東依存度を下げるためインドネシアからの輸入を増加していましたが、インドネシアが経済発展し原油が輸出に回せなくなった結果、中東依存度は80%近くにまで戻っています。最近はイランからの原油も減る一方、ロシアからの輸入が増えています。

原油価格の推移
(出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会「エネルギー基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢について

 原油価格はこの数年で急速にトレンドが変化しています。リーマンショック後、2009年頃から原油価格は急速に高騰していきましたが、2014年秋から反転、今度は急速に価格が下落し、今は2005年頃の水準に回帰しています。背景には、シェールガスやシェールオイルにより米国内を始め世界中に化石燃料の供給量が一気に増え、それに対し従来は価格調整機能を果たしていたOPECも対抗するために原油の産出量を減らさない方針を発表したことがありました。おかげで石油火力発電のコストは減少していますし、この価格トレンドはこれからお話する、天然ガスや石炭の価格にも大きな影響を与えています。

石炭

石炭輸入量

 こちらのグラフは日本の石炭の国内生産量と輸入量の推移を示しています。今ではほぼ100%が輸入石炭となっていますが、かつては日本は石炭大国でもありました。明治時代から日本は機関車や工場の燃料、製鉄業の原料として石炭を大量に生産してきました。中学校の教科書に出てきた福岡県の筑豊炭田、三井三池炭鉱、映画「フラガール」の舞台となった福島県の常磐炭田を始め、北海道・福島県・山口県・九州北部に800近くの生産量の豊富の炭鉱がありました。戦後には、液体で輸送に便利で熱変換効率の良い石油と安価な海外石炭に押され、国内石炭を競争力を失っていきました。その後、炭鉱の閉山が相次ぎ、現在は釧路炭田が国内唯一の坑内掘り炭鉱となってしまいました。

 一方、第一次石油ショック以降、火力発電の主役となった石炭は輸出量を急速に増やしていきます。石炭は石油に比べて地理的分布が偏在していないのが特長で、日本の石炭輸入元は、オーストラリアとインドネシアで全体の82.7%を占めています。日本は数年前まで世界一の石炭輸入国として君臨し続けていましたが、ついに中国が日本を抜き、現在世界一の石炭輸入国となりました。中国は少し前では世界有数の石炭輸出国だったのですが、国内の石炭需要が急増し、輸入国となったのです。同様にインドも近年石炭輸入を大幅に増やしており、間もなく日本を抜き世界第二位の石炭輸入国となる見込みです。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアにも変化の兆しが見られます。2014年6月に、ロイター通信が、「世界最大の一般炭輸出国インドネシアが生産抑制と輸出管理強化に向けた新たな規制を検討していることが6日、政府関係者の話で分かった」と報じました。インドネシアも国内の石炭需要が増えていることで、石炭輸出を控えようと言うのです。このように、石炭の需給は逼迫してきています。

国別石炭輸入量
(出所)経済産業省資源エネルギー庁「石炭をめぐる現状と課題

 石炭の価格は、石油や天然ガスと比べ遥かに安いですが、それでも近年じわじわと上昇してきています。

石炭価格の推移
(出所)経済産業省資源エネルギー庁「石炭をめぐる現状と課題

 石炭の今後を見ていく上で、やはり注目は中国の動向です。

石炭生産量

 実は中国は世界でダントツナンバーワンの石炭生産国です。その数35億トンで、2位アメリカの9億トンの約4倍です。その旺盛な石炭需要は国内の石炭だけでは賄い切れず、2010年には輸出国から純輸入国に転じました。2013年は世界最大の石炭輸入国となり、2位日本の1.6倍の量です。

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(出所)”BP 2013 Statistical Review of World Energy”を基にOneFiniteWorld作成

 中国が膨大な石炭を必要としている背景には、石炭を用いた火力発電の伸長があります。中国は現在、再生可能エネルギーや原子力発電の建設を推し進めていますが、今日は火力発電、特に石炭にかなり依存しています。石炭は石油や天然ガスと比しても世界での埋蔵量が多く、今後も安定的にエネルギー源として用いられていく見込みですが、需給が逼迫すれば当然価格は高騰します。また、石炭は他のエネルギー源に比べ、燃焼時の窒素加工物含有量や硫黄加工物含有量が多く、後処理をしないと深刻な大気汚染を引き起こします。環境対策も今後の大きな課題です。

石油・石炭・天然ガスの化合物含有量

天然ガス

日本のガス消費用途
(出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014

 ガスと言うと、お風呂やガスコンロで用いられるガスのことを想像するかもしれません。確かにガスという燃料はそのまま家庭用や産業用に「ガス」という状態のままで使用されています。ところが、実際の日本での消費量を見てみると、都市ガスとして使われているのは全体の30%強にすぎず、ほとんどのガス燃料は、火力発電のための燃料して使われています。

天然ガス

 天然ガスには、ガスの採掘所からそのまま気体のままパイプラインを通して流通させるものと、一度冷却して液体状態にしたLNG(液化天然ガス)の2種類があります。ヨーロッパや米国では一般的に天然ガスはパイプラインで輸送されています。日本でも国内で採掘させる天然ガスはパイプラインで輸送されています。しかし国内で使用されている天然ガスのうち、国内天然ガスの採掘量は非常に少なく、ほとんどは海外からの輸入品です。そして、日本が輸入している天然ガスの産出国は日本から離れている国が多く、LNGで形態でタンカーに載って国内に入ってきています。

 冒頭で紹介したように、日本は現在電力の42.5%を天然ガスで調達しています。では、その天然ガスはどこから輸入しているのでしょうか。

LNG輸入

 過去の推移を眺めると、日本の電力会社や商社は、天然ガス調達のために次々と輸入元を開拓してきたことがわかります。特に、2000年代に入ってから依存度の高かったインドネシアからの輸入量が減少したこと、そして東日本大震災以後の原子力発電所の稼働停止に伴い、マレーシア、オーストラリア、カタールからの輸入量が増えています。また、近年、「サハリンⅡプロジェクト」等の進展によりロシアからもLNG輸入がから始まっています。一方、米国からの天然ガス輸入が少ないことに疑問を持つ方もいるかもしれません。確かに米国では昨今シェールガス開発が急伸しています。しかしながら、米国から日本へのシェールガス輸入はまだスタートしておらず、2016年から輸入が開始される見通しです。

ガス価格
<出所>Business Insider

 さて、ガスの価格はどうでしょうか。こちらは世界の主要市場である、米国、ヨーロッパ、日本を比較したものです。この3本の線はそれぞれ違う動きを見せています。まず、日本、東日本大震災後価格が急騰しているのがわかります。通常天然ガスは安定的な輸入供給を実現するため長期契約で価格を取り決めています。そしてもし長期調達で融通しきれない場合は、スポットで取引されているものを買うことになります。日本は震災後、一気に購入量を増やしたためスポット市場でも取引を行い、需給バランスが売りて優位に動いた結果、価格が高騰しました。一方、米国ではシェールガス革命が始まったおかげでリーマンショックからの経済回復後も価格は低位へと推移しました。一方、ヨーロッパでは安全保障リスクの観点からロシアからの天然ガス購入を控え、中東からの石油・天然ガス輸入を強化した結果、価格は下がってきています。

shalegas
(出所)EIA

 今後の注目はやはり米国でのシェールガス採掘の動きです。2012年時点での予測では、今後米国でのガスは大半がシェールガスとなっていく見込みで、全体のガス生産量も急増していくと言います。2014年後半のガス価格の下落以降、シェールガス開発の動きも少し緩慢になってきているといいますが、米国の潜在的なシェールガス産出規模は巨大です。膨大なガスが市場に出てきますし、2016年以降は日本にも米国からのガス輸入が開始されますので、日本のガス取引価格も下落していく見込みです。また、日本政府やエネルギー各社、商社は協力して新たな天然ガスの調達先を開拓しています。米国では、中部電力・大阪ガスがフリーポートLNGプロジェクトに、住友商事がコーヴポイントLNGプロジェクトに、東芝がフリーポート(拡張)LNGプロジェクトに、三菱商事・三井物産がキャメロンLNGプロジェクトに関与しています。カナダでは、三菱商事がLNGカナダプロジェクトに、石油資源開発がパシフィック・ノースウエストLNGプロジェクトに、出光興産がトリトンLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石がオーロラLNGプロジェクトに関与しています。オーストラリアでは北部準州のイクシスLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石が関与しています。インドネシアでは、東部のアラフラ海海上のガス田開発プロジェクトに国際石油開発帝石が関与しています。

原子力発電

 東日本大震災後に原子力発電所が全て稼働停止となりましたが、2012年7月から2013年9月の間に関西電力の福井県大飯発電所の原子力発電所が再稼働され、そのため冒頭の2012年時の発電シェアでは、原子力発電所が1.7%ということになっています。もともと原子力発電は、日本の高度経済成長期に膨れ上がる電力需要を賄うため政府主導で進められてきました。1955年12月原子力基本法が成立し原子力利用の大枠が決定、1957年には原子力発電を行う事業者として日本原子力発電が発足します。1963年に日本初の原子力発電に成功し、1966年には日本初の原子力発電所・東海発電所が完成し、商用の営業運転を開始しました。「省資源・二酸化炭素排出量ゼロ・エネルギー安全保障の確立」という夢の技術として期待された原子力発電は、2011年の東日本大震災で社会環境が大きく変化しました。2015年現在、全ての原子力発電所は全て活動を停止しています。

発電コストの比較
(出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)

 原子力発電の魅力的な点は発電コストの低さです。現在日本政府の検討会議で使われている比較データでも、原子力発電は最も発電コストの低い手法の一つとして扱われています。しかしこの発電コストの低さを強調する議論に対し、「原発事故が起こった場合の対策費用や社会的損失費用などがしっかり考慮されていない」という、原子力の発電コストの計算方法に異議を唱える人々も少なくありません。日本政府は2015年1月30日、経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置し、最新のエネルギー市場を踏まえて再度エネルギーコストを試算することとしています。

世界の主要原子力プラントメーカーの変遷
(出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)

 また、日本政府が原子力発電を推進したいもう一つの要因は、日本の原子力発電産業の振興です。かつて原子力発電の将来の国内の主要電源として位置づけてきた日本は、原子力技術は言わば長期にわたって官民で投資してきた分野。これを海外に輸出することでひとつの産業の柱としてきました。世界の主要原子力プラントメーカーは再編が進み、現在は3つのグループに分かれています。1つが三菱・アレバグループ、2つ目が東芝・ウエスチングハウスグループ、そして日立・GEグループで、いずれにも日の丸電機メーカーが入っています。しかしながら、東日本大震災以後、日本国内での原子力に対する期待が大きく下がる中、韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが台頭してきており、日本の産業界からは危機感が募っています。

原子力発電の核燃料サイクル

 原子力発電にはメルトダウンなどのリスク以外にも、放射性廃棄物の再処理・中間貯蔵・最終処分の問題があります。そのためもあり、日本政府が2014年4月に閣議決定した新しい「エネルギー計画」では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」という方針が決まりました。しかしながら、全面廃止するという意味合いではなく、発電コストを下げるためにも、目下のところ経済産業省は原子力発電の推進に躍起になっています。

再生可能エネルギー(新エネルギー)

 最後に、「未来のエネルギー」と呼ばれてきた再生可能エネルギーの状況を見ていきましょう。再生可能エネルギーと一言で言っても実は定義は曖昧です。経済産業省は、再生可能エネルギーと新エネルギーの用語を使い分けており、再生可能エネルギーは広義で、太陽光発電(PV)、太陽熱発電(CSP)、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、水力発電などを全て含みます。一方で新エネルギーは、再生可能エネルギーから大規模水力発電、フラッシュ方式地熱発電、空気熱発電、地中熱発電を除いたものを指します。ですが、実態としては専門家の間でも定義は今でも揺り動いていますし、外国にいけばなおさら定義は異なります。

 日本の2012年の電力事業者が行っている発電のうち、新エネルギーが占める割合は1.6%。震災前の2009年には1.1%でしたので多少は増えましたが、それでも微々たる数値です。期待されても期待されてもなかなか日本で導入が進んでこなかった理由はコスト面です。原子力発電所のコーナーでご紹介したように、再生可能エネルギーのコストは比較的高いと計算されているのです。しかしながら、近年諸外国では再生可能エネルギーは積極的に導入されてきており、技術革新が進展。結果として、コストはどんどん下がってきています。

再生可能エネルギーのコスト比較
(出所)IRENA

 こちらは国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータです。再生可能エネルギーの発電コストについて、2010年と2014年を比べたものですが、特に太陽光(PV)、太陽熱(CSP)でコストが大きく下がり、風力もコストが低減していることが見て取れます。背景には、太陽光発電パネルメーカーも風力発電機メーカーもグローバル規模で熾烈な企業競争があります。とりわけ、中国やインドなどの新興国メーカーの台頭が目覚ましく、それらが発電コストをどんどん押し下げてくれています。日本政府も、固定価格買取制度を2012年に本格開始しました。その後、電力事業者各社から送電網の不安定さを理由に電力買取を拒否する動きも出てきましたが、2015年に入り経済産業省の審議会では、太陽光発電については要検討としながらも、それ以外の発電については電力会社に買取を促す行政指導を行っていく気配です。

 再生可能エネルギーのシェア目標については現在宙に浮いたままです。

2010年6月に改訂された日本政府の「第3次エネルギー基本計画」では、原子力発電と再生可能エネルギー(水力含む)の比率を、2020年までに50%、2030年までに70%とする計画を打ち上げました。さらに、その中で、再生可能エネルギーが占める割合を、2020年までに全体の10%に達するという計画も含まれました。しかし、東日本大震災によって計画は方向性を失い、2014年4月の「第4次エネルギー計画」では達成目標については事実上白紙撤回となりました。

 では、再生可能エネルギーはやはり期待できない電力源なのでしょうか。世界に目を向けるとそうとも言えません。世界各国の電力統計をまとめている国債エネルギー機関(IEA)のデータによると、2011年時点で世界主要国は再生可能エネルギーを重点的に強化しています。定義が異なるため、こちらの統計では日本の発電における再生可能エネルギー割合は5.1%(バイオマス発電が2.9%で牽引)です。この数値で比較していきましょう。環境先進国ドイツはそれぞれ20.7%、同じ島国イギリスは10.4%、デンマークはなんと50.6%です。環境を顧みない印象のあるアメリカでも5.8%で日本を上回っています。また、各国では2015年までの間にさらに再生可能エネルギー投資を活発化させており、年々この差は開いていきそうです。

電力の行方

 電力問題の課題には基本的に2つの大きなテーマがあります。

  1. ピーク電力需要の削減(ピークシフト・ピークカット)
  2. 電力コストの削減(再生可能エネルギーの技術革新)

 ピーク電力需要の削減とは、1年や1日の中で最も電気を必要とする時間帯の電気使用量を減らすということです。電気は1日中満遍なく使われているわけではありません。基本的には夏の昼間が最も電力需要が大きく、春秋の夜は電力需要が著しく低下します。すなわち1日をかけて電力消費量を減らす必要はなく、ピーク時の電力需要を削減できれば発電容量を大きくする必要がなくなるというわけです。そこでピークシフトとピークカットという考え方が出てきます。ピークシフトとはピーク時に節電しピーク時でないとき電気を使うという電力需要の差を平準化する試みです。その方策としては、ピークでないときに蓄電してピーク時に使用するという供給側の対策と、電気料金を時間帯ごとに変えピーク時に高くそれ以外に安くすることで利用者のピーク時以外利用を促すという需要側の対策の2つが大きく検討されています。ピークカットとは節電技術を開発・導入して常時電力を下げるという方法と、ピーク時に活用できる太陽光発電などを利用してピーク時の商用発電量を減らすという方法があります。

 一方で電力コストの削減には大きな技術革新が突破口となります。特に上述したように再生可能エネルギーのコストは年々大きく低下しており、これは全て開発している研究者やエンジニア、企業や研究機関の努力によるものです。当サイトでも、太陽光洋上風力バイオマスの技術革新の様子をご紹介しています。この分野の技術革新には海外ではSRIとして年々多くの資金が投じられており、ますますテクノロジーの進化は進んでいきそうです。従事する企業にとっては国際競争がより激化していくことも意味しています。事業会社にとってもエネルギーの安定供給を実現していくことは企業のサステナビリティを高めることにも繋がり、アメリカのIT業界では再生可能エネルギーでの発電を自社で推進しています(参考:【IT】Greenpeaceの巨大な影響力 〜Amazon, Appleがクリーンエネルギー推進へ転換〜)。エネルギーの分野はこれからますます多くの企業の関心と協力を必要としていきます。

著者プロフィール

夫馬賢治

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所所長

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