ロイター誌が報じたところによると、米証券取引委員会(SEC)は3月22日、世界最大の民間石油企業エクソンモービルに対し、同社の株主であるニューヨーク州政府会計監査官(Comptroller)が要求する気候変動に関する株主提案を、年次株主総会での議題の中に含めるよう指示した。この株主提案は、同社に対して、気候変動及びそれに関する法整備が同社の事業活動遂行能力に与える具体的なリスクを特定するよう求めている。
エクソンモービルはこれまで本件株主提案に対し、同社は"Energy and Carbon – Managing the Risks"という報告書をすでに2014年にも発表しており適切な情報開示を実施済であり、さらに提案内容そのものが曖昧だと、退ける考えを伝えていた。そのため、ロイター誌は、この決定はエクソンモービルにとっては敗北といえると論じている。
ニューヨーク州政府会計監査官は、1,783億米ドル(約20兆円)のニューヨーク州退職年金基金の運用責任者の職責も務める。今回の株主提案は実際は共同提案の形をとっており、英国国教会、バーモント州退職年金基金、カリフォルニア大学退職年金基金、ブレイナード財団等も含まれており、合計するとエクソンモービル株式を10億米ドル以上所有する勢力となる。
しかしながら、米国では、個別の株主提案に対して、経営陣が株主に賛成・反対のどちらを取るべきかを推奨することは珍しくない。今回の提案に対し、同社の立ち位置はまだはっきりしない。さらに、株主総会で実際にこの株主提案が可決されるかどうかも未知数だ。同社の株主は、気候変動の専門家を取締役に加えるべきだとする株主提案を、昨年の株主総会で79%もの反対票を投じて否決した経緯があり、今回の気候変動への取り組みを進展させる議決が多数の株主から賛同を得ることは容易ではない。
証券取引委員会とエクソンモービル社との間には他にも二酸化炭素関連の情報を巡る調査中のケースがある。ニューヨーク州司法長官を務めるEric Schneiderman氏は、同社が気候変動リスクに関して一般の人々や株主を欺いたとし、記録文書、Eメールその他の証拠書類の提出を求める召喚状を送り、エクソン側の弁護士との応酬を重ねている最中でもある。
参照URL
【参照ページ】Exxon Mobil must allow climate change vote: SEC
【参照ページ】SEC Orders Exxon Mobil Shareholder Vote on Climate Data
【企業サイト】Exxon Mobil
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