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【アメリカ】ホンジュラス農民、世界銀行を相手取り米国連邦地裁に集団訴訟。人権侵害への関与責任 2017/03/28 最新ニュース

 中米ホンジュラスの農民らは3月7日、米NGOのEarthRights Internationalを通じ、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とIFCアセットマネジメントを相手取り、米国ワシントンDCの連邦地方裁判所に集団訴訟を起こした。原告は、IFCの融資先であるパーム油企業が殺害事件に関与しており、IFCは対策を取らず放置したことの責任があるとしている。国連機関である世界銀行グループには、国家と同様に外国の裁判権から免除される「裁判権免除」が認められており、民事責任が裁判で問われることになれば極めて異例。米国連邦地方裁判所が集団訴訟を受理するかどうかに注目が集まっている。

 本件の原告は、ホンジュラス農民17人とその家族。IFCが融資をしたパーム油生産企業ディラントがホンジュラス北部バホ・アグアン地域での土地獲得において、反対運動を行っていた現地の活動家複数を殺害したと指摘。その中でIFCは、ディラントが暴力的手段で土地獲得を進めていたことを知っていたにもかかわらず、対策を講じなかったことを糾弾している。本件について報道を行ってきたジャーナリスト団体「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」によると、IFCは今回の融資事案が失敗していることは認めつつも、ディラントに武装解除を促すなど努めてきたと反論している。

 現地での人権侵害などを事由に世界銀行グループが訴えられる事例としては、2015年にインド国民が米国連邦地方裁判所に集団訴訟した件がある。その際も、EarthRights Internationalが訴訟を支援していたが、同地裁は世界銀行グループの裁判権免除により訴えを棄却している。しかし、今回はIFC傘下の会社法人であるIFCアセットマネジメントに対しても訴えを起こしており、IFCアセットマネジメントにも裁判権免除が認められるかも争点となる。

 昨今、発展途上国での開発プロジェクトへの融資について、人権侵害や環境汚染などで融資銀行の責任が問われるケースが増えている。民間の融資銀行は、案件や対応の適格性判断で、世界銀行など国際開発銀行や政府系開発銀行の支援事例を考慮に入れることがある。しかし今回、世界銀行グループに対しても訴訟が起こされていることからも、必ずしも国際開発銀行が融資している案件だから安全だということにはならない。同様に、世界銀行グループの実施内容と同等の対応をしているからといって安心できるわけでもない。

【参照ページ】LAWSUIT: WORLD BANK ARM AIDED FIRM THAT HIRED ‘DEATH SQUADS’

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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