国際NGOグローバル・ウィットネスは5月22日、化粧品、ベビーパウダー、塗料、自動車部品等の原料として用いられるタルク(滑石)が、ISISやタリバン等の武装勢力の資金源となっており、消費者が国際紛争を間接的に支援しているとする報告書「Talc: The Everyday Mineral Funding Afghan Insurgents」を発表した。アフガニスタン東部のタルク、クロマイト、大理石等の鉱山を巡り、ISISとタリバン間の紛争も激化している。まさに、紛争鉱物となっている。
グローバル・ウィットネスは、数か月に及ぶ現地調査を実施。アフガニスタンでは1994年頃からタリバンがタルク鉱業を掌握していたが、近年ISISはアフガニスタン東部の大規模なタルク、クロマイト、大理石の鉱山を支配しているという。今回の調査では、ISISが同地域の支配を開始して以来、採掘が大規模化しているという証言が得られた。すでにタリバンとISISは鉱山を巡る対立関係にあり、ISISは支配地域から直接パキスタンへと鉱物を輸送するルートを確立しようとしているという。
今回の報告書には、ISISによる具体的な採掘量や収益等は示されていない。一方タリバンは、アフガニスタンの鉱物によって年間約3億米ドル(約329億円)の収入を得ており、タルク採掘からは年間数百万米ドルを得ていると推定した。2016年の統計によると、アフガニスタンからのタルク輸出量は561,286tで、ほぼ100%がパキスタン向け。データの一部に不明な点もあるが、パキスタンからの輸出量は305,970tで、その内訳は、米国向けが42%、オランダに13%強、イタリアに13%弱、オランダとイタリアを除くEU諸国に11%、韓国に6%、サウジアラビアに5%、日本に3%だという。このように、日本の消費者も間接的に武装勢力の資金集めに協力している可能性が示唆されている。
グローバル・ウィットネスは、アフガニスタン政府に対し、武装集団による不法採掘や不法取引を阻止するための監視体制の強化、現地の地域社会を対象とした合法な鉱物採掘の推進と透明性を担保した管理運営、法改正による現状改革、衛星画像を利用した主要な採掘現場の監視、サプライチェーンに対する適切な管理の迅速な実施を要請した。また、消費国である欧米をはじめとする消費者に対し、タルクを巡る状況を理解を訴えた。
【参照ページ】At Any Price We Will Take The Mines
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