オーストラリア農業資源経済局(ABARES)は9月11日、2018年冬季(6月から8月)の農産物報告書を発表した。同報告書は、四半期毎に同国の主要農作物の生育状態と今後の見通しを公表するもの。気象や土壌の分析、主要な農業州における生産量の予測等が含まれている。
今年の冬(北半球では夏)の降水量は記録的減少が発生し、全国生産量は前年比で12%減の3,320万tになると予測。この数値は1998年から2017年までの20年間の平均値より9%も低く、同省が2018年6月に発表した予測からもさらに12%下方修正された。最近で最も生産量が落ち込んだのは2002年で、それに比べると91%高い。
同国での冬季の作物は、オオムギ、小麦、ライ小麦、オート麦、キャノーラ、ヒヨコマメ、ソラマメ、サヤエンドウ、レンズマメ(レンティル)、ルピンマメ、ベニバナ等。このうち、オオムギの生産量は前年比7%減の約830万t、小麦は10%減の約1,910万t、キャノーラは24%減の約280万t。
作物全体を見ると、ニューサウスウェールズ州では、2017年同四半期の生産量を46%下回り、クイーンズランド州では38%、ビクトリア州では295、南オーストラリア州では5%の減少が予測されている。西オーストラリア州では12%増加の見込み。
オーストラリアには約769万㎞2もの国土があり、放牧地を含む農地は国土の63%を占める。但し、北部の熱帯地域から南部の温帯地域まで、自然環境や季節ごとの気象条件が大きく異なる。2018年冬季の降水量は、記録されているデータを最少レベル1から最大レベル119までに分類した場合、全国平均で最少から15番目だという。さらに州別では、ニューサウスウェールズが最少から9番目、クイーンズランドが26番目、ビクトリアが28番目、南オーストラリアが34番目の少なさ。土壌が極めて乾燥していた上に、多くの地域では少雨のため植え付けを止める事態となり、さらなる生産量の低さに繋がった模様。
同省の分析のよると、2018年冬の少雨は一部の州に限られている。1994年、2002年、2006年、2007年ではオーストラリア全土を襲う旱魃が発生しており、今年よりも激しい被害が出た。
同国では、秋季や冬季の気象条件が春季(9月から11月)以降の作物生産に大きな影響を及ぼす。8月30日にオーストラリア気象局によって発行された3ヶ月間の気候予測(2018年9月から11月)によると、同国のほとんどの農業地域では、中央値を超える降水量は期待できないという。また、西オーストラリア州とクイーンズランド州の一部地域では9月の気温は平均より高く、10月の気温も全国的に高いという。土壌の乾燥により、今後の作付けや生産量に及ぼす影響が懸念される。
【レポート】Australian crop report
【参照ページ】産業情報・食品・農水産物:オーストラリア貿易投資促進庁:オーストレード
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