日本と英国の両政府は10月23日、日英包括的経済連携協定(日英EPA)に署名した。英国のEU離脱に伴い、2019年2月1日に発効した日EU経済連携協定(日EU・EPA)が英国に適用されなくなることに伴い、日英EPAを個別に締結した形。双方での批准を経て、2021年1月1日に発効する予定。
日英EPAの内容は、日EU・EPAをほぼ踏襲した形。日EU・EPAの関税率・撤廃期間を日英EPAに対しても適用する「キャッチアップ」条項を盛り込んだ。但し、日本から英国への鉄道車両・自動車部品等については日英EPAでは関税を即時撤廃することで合意した。英国から日本への農林水産品の輸入に関しては、現在のEUへの輸入割当を維持するため、EUと英国の合算値をもってセーフガードを発動できるという内容にし、国内の事業者に配慮をみせた。
原産地規則では、EU原産材料・生産を、日英EPAでも原産材料・生産とみなすことを規定。工作機械、繊維、自動車部品等の一部については品目別規則を日EU・EPAよりも緩和した。
Eコマースでは、情報の越境移転の制限の禁止、コンピュータ関連設備の設置要求の禁止、暗号情報の開示要求禁止等を規定するとともに、ソースコード開示要求の禁止の対象にアルゴリズムを追加。金融サービスではコンピュータ関連設備の設置要求の禁止を定めた。これらは、日EU・EPAよりも進んだ内容となっている。
英国政府は10月21日には、ノルウェーとの間で物品に関する暫定協定にも署名している。これは、恒久的・包括的な自由貿易協定の締結が、英国のEU離脱までに間に合わないことに備えたもの。
また英国政府は、10月6日には台湾との間でも研究開発分野での協力関係を深化させるプログラムを発表している。英国からは、人工知能(AI)・データ、高齢化社会、気候変動対応型の経済成長、モビリティの4分野を戦略的今日強化分野として提示。台湾からは、情報・デジタル技術、サイバーセキュリティ、バイオテクノロジー・医療テクノロジー、国防、再生可能エネルギー、戦略的備蓄の6分野を主要産業として位置づけ、双方の戦略分野を結びつけていく。
英国がEU離脱に際し、すでに貿易協定に合意している国・地域は他に、韓国、欧州自由貿易連合(EFTA)、コソボ、フェロー諸島、イスラエル、パレスチナ、アンデス共同体、チリ、カリブ海フォーラム(CALIFORUM)、モロッコ、チュニジア、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、南部アフリカ関税同盟及びモザンビーク(SACUM)、ヨルダン、ジョージア、中米諸国、太平洋諸国等。米国、オーストラリア、ニュージーランドとの間では、相互承認協定を締結している。
【参照ページ】日英包括的経済連携協定(EPA)
【参照ページ】UK and Japan sign historic free trade agreement
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