豪小売大手ウールワースは11月30日、酪農家の生産性、サステナビリティ、レジリエンス向上のため「乳製品イノベーション基金」を創設したと発表した。今後3年間で総額500万豪ドル(約3.8億円)を助成する。
同基金は、酪農家のコスト削減や収益性向上のための設備投資を支援するもの。業界団体Dairy Australiaの調査によると、酪農家の80%が今後2年間で設備投資を検討しており、補助金を支給することで酪農家の設備投資を後押しすることを狙う。
同基金は、乳製品業界団体のAustralian Dairy Farmers、Dairy Australia、豪国家農家連合会、Premium Milk、NSW Farmers’ Association Dairy Committeeと共同で設計。特に季節変動を少なくするためのテクノロジー投資とインフラ投資を重視する。
同基金へは、ウールワースのサプライチェーン上で、直接・間接的に牛乳を提供する全ての酪農家が申請可能。生産コスト削減や収益性改善に向け、最大10万豪ドル(約770万円)の寄付を受けることができる。支援対象は最大60社を想定。
同社は2018年以降、同社2lから3lの自社ブランド(PB)牛乳商品について、旱魃対策として、1lあたり10セントを賦課し、酪農家450人に対し、6,000万豪ドル(約46億円)を寄付。また近年、酪農家と加工メーカーの間で出荷価格の上昇交渉が進められていることを受け、同社としても卸売コストの増加を受け入れている。
酪農へのアクションでは、小売大手豪コールズも11月27日、西オーストラリア州南西部の酪農家10人との2023年6月までの長期直接契約を締結し、自社ブランド(PB)牛乳を加工メーカーではなく、酪農家から直接購入する方式に切り替え、酪農家の設備投資を加速する施策を発表している。
今回、発表した直接調達の規模は、年間3,500万l。また、同社はすでにサプライチェーンの関係企業を集めた「コールズ持続可能な酪農開発グループ(CSDDG)」も発足しており、積極的に同社との対話や資金支援をしやすい環境も整えている。同社は2019年6月に先行してビクトリア州とニューサウスウェールズ州では酪農家との直接契約を開始。それ以降、動物の健康管理技術の試験への投資や、手指消毒剤の供給、除細動器の設置を通じた酪農家の職場の安全性の向上を支援を行ってきた。
さらに同社は、西オーストラリア州の酪農家から直接購入した牛乳を処理して瓶詰めする価格についても、豪飲料Lion Dairy & DrinksとBrownes Dairyとの間で合意に達している。
【参照ページ】Woolworths to support Australian dairy farmers’ innovation plans with new $5m fund
【参照ページ】Coles supply contracts support long-term sustainability of WA dairy farms
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