世界のサステナビリティ専門家に対して実施したサステナビリティ課題の関心に関するアンケート結果を発表した。新型コロナウイルス・パンデミックで、気候変動とともに、貧困や不平等といった社会経済課題への課題認識が高まっていることがわかった。サステナビリティを主導していると認識されている政府やNGOの発表もあった。
今回の調査を実施したのは、カナダのマーケット・リサーチGlobeScanと英コンサルティングERMのSustainAbility Institute。両社は毎年、サステナビリティ領域のリーダーの定点調査を実施しており今年で25回目。以前までに調査を実施していたSustainAbilityは、ERMに2019年に買収され、以前は、SustainAbility Instituteに名称を変更した。
同アンケートの回答者の地域割合は、欧州26%、北米23%、アジア・太平洋24%、中南米21%、中東・アフリカ6%。業種別では、企業30%、サービス・メディア32%、大学・研究機関14%、NGO19%、政府4%。専門家歴は10年以上が69%と多数を占める。
喫緊課題の認識では、気候変動が最多。続いて、生物多様性喪失、水の希少性、貧困、水質汚染、医薬品アクセス、質の高い教育へのアクセス、経済的不平等、食料不足、プラスチック廃棄物、その他廃棄物の順。以上までが80%の人が、5段階評価で4以上を付けた。貧困は過去2年間で11ポイント、経済的不平等は同8ポイント上昇しており、社会分野の課題認識も高まってきている。
組織種別毎の持続可能な開発への貢献では、NGOが61%で最多。続いて、研究・学術機関47%、市民運動47%、国連41%、マルチセクター・パートナーシップ38%、国際開発金融機関23%、企業21%、地方政府19%、機関投資家18%、中央政府7%の順。機関投資家は2019年の調査から加わり、過去2年間の上昇度が一番高い。
国別のリーダーシップ評価では、スウェーデンとドイツが22%でトップ。続いてデンマーク20%、ノルウェー16%の順。一方で、評価は、ドイツと北欧の二強から分散する傾向にあり、過去5年間で英国が11%から16%へ、ニュージーランドが2%から15%へ、コスタリカが8%から15%へ、フランスが5%から12%へと上がってきた。
NGOのリーダーシップ評価では、世界自然保護基金(WWF)が41%で圧勝。続いて、グリーンピース17%、世界資源研究所(WRI)11%、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)9%、オックスファム8%、国連グローバル・コンパクト(UNGC)5%、Ceresが4%、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)4%、エレン・マッカーサー財団4%、コンサーベーション・インターナショナル(CI)3%、環境防衛基金(EDF)3%、Frinds of the Earth(FoE)3%の順。NGO評価では、回答組織別や地域別でも概ね同じ順位の評価だったが、北米だけはグリーンピースの評価が8%と低かった。
企業のリーダーシップ評価では、ユニリーバ31%、パタゴニア25%、ナチュラ16%、イケア13%、インターフェイス6%、ダノン5%、マイクロソフト4%、ネスレ4%、テスラ4%の順。事業戦略の中にサステナビリティを統合しているかについての観点で判断する人が多かった。地域毎には回答に差があり、欧州はユニリーバが33%で圧勝。北米はパタゴニアが39%で圧勝。中南米はナチュラが66%で圧勝。アジア太平洋は、シンガポールのシティ・ディベロップメンツとインドのタタ・グループが7%タイで首位。日本企業では花王とトヨタ自動車が3%で並んだ。
【参照ページ】New Global Survey Finds Covid-19 Is Intensifying Sustainable Development Challenges, But Leading Businesses Are Stepping Up Action
【参照ページ】GlobeScan / SustainAbility Survey 2021 Sustainability Leaders
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