
米連邦取引委員会(FTC)は4月23日、退職者の競業避止義務を強制することを禁止する最終ルールを発表した。FTC法第5条に違反すると判断した。代替手段として秘密保持契約(NDA)を推奨した。同規則は連邦官報掲載の120日後に発効する。
FTCは今回、労働契約での競業避止義務条項は、賃金上昇やイノベーションを抑制していると判断。競業避止を禁止することで、新規事業が年間2.7%増加、毎年8,500以上の新規事業が追加的に創出、今後10年間で最大1,940億米ドルの医療費削減が見込まれると算出した。また、イノベーションも促進され、今後10年間で平均17,000件から29,000件の特許が増加すると推定した。
競業避止義務は、現役社員と退職者の双方に適用される概念だが、今回は退職者に関する競業避止義務締結を禁止した。既存の合意にも無効になる。例外として、労働者の0.75%未満に該当する上級幹部に対する既存の競業避止義務は引き続き有効としたが、上級幹部に対しても新たな競業避止義務の締結や遵守要求は禁止される。上級幹部の定義は、年収151,164米ドル以上で、事業方針を決定する立場にある者。
FTCによると現在、米国人労働者の約20%に相当する約3,000万人が競業避止義務を課せられているという。今回の最終規則により、雇用主は、既存の競業避止義務を課せられている上級幹部以外の労働者に対し、競業避止義務の遵守を要求しない旨の通知を行うことも義務付けられる。文言案も最終規則に盛り込んだ。これにより、退職後は競合に当たる企業への転職や起業が自由にできるようになる。
FTCは今回、競業避止義務ではなく、企業機密法や秘密保持契約(NDA)による合意を推奨。研究者の推計によると、競業避止義務を負う労働者の95%以上がすでにNDAを締結しているという。
【参照ページ】FTC Announces Rule Banning Noncompetes
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