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【韓国】憲法裁、2030年以降のGHG削減中間目標未設定を違憲判断。法改正命令。環境権保護

 韓国憲法裁判所は8月29日、2010年10月に施行された低炭素・グリーン成長枠組法と、2022年に改正施行されたカーボンニュートラル・グリーン成長枠組法を巡る違憲裁判に関し、違憲判決を下した。2026年2月28日までに違憲状態を解消する法改正を命じた。それ以外の訴えに関しては全て棄却した。

 同裁判は、原告が青年環境団体「Youth 4 Climate Action」のメンバー。被告は国としての韓国。原告は2020年に低炭素・グリーン成長枠組法及び同施行令(大統領令)が違憲と主張し提訴。また同法は2022年にカーボンニュートラル・グリーン成長枠組法と同施行令(大統領令)に改正されたが、原告は同法と同施行令についても審査対象に加える申請を行った。

 韓国政府は現在、同法に基づき、2030年の温室効果ガス排出量を2018年比40%減と設定している。また、2050年カーボンニュートラル目標を掲げているが、2031年以降の具体的な中間目標やアクションは定めていない。

 今回、憲法裁判所は、憲法第35条で規定されている環境権「すべての国民は、健康で快適な環境の中で生活する権利を有する」に関し、当該条文は、自然環境だけでなく、人工環境などの生活環境も含まれるとした。また同条の条文「国及び国民は、環境の保全に努めなければならない」に関しては、日常生活の基盤となるあらゆる環境を破壊し、生命や身体の安全などを脅かす気候変動リスクに対処する義務も含まれるとした。

 これを踏まえ、違憲審査基準では、国が環境権を保護するために適切かつ効果的な最低限の保護措置を講じることを要求する「保護不十分禁止の原則」を適用。その結果、設定した達成目標を達成できなかった場合、さらに大統領令で定める毎年の進捗状況でも目標を達成しなかった場合のリカバリー義務が政府には規定されておらず、また2031年以降の中間目標やアクションが決められていないことを、「将来への過渡な負担」と判断。違憲判決を下した。さらに、2031年以降の中間削減目標を大統領令で定める建付けになっていることも、「法律の留保の原則」に反するとし、違憲とした。

 但し、今回の判決では、違憲判断を下した同法や同施行令の条文を無効としてしまうと、2050年までに設定されている全ての中間目標が無効となり、温室効果ガス削減の制度枠組みが後退してしまうことを懸念し、同法や同施行令の改正を命じつつも、改正までは違憲判断の条文についても効力は維持されるとの判断を下した。 

 一方、原告が求めていた2030年の削減目標の水準の妥当性や、セクター別の削減目標の設定義務については、「保護不十分禁止の原則」の観点から必ずしも環境権を侵害しているとは断定できず、棄却した。韓国政府が現在、削減目標指標として「基準年の総排出量 - 目標年のネット排出量」を用いており、ベースラインが一致していない問題に対する訴えについては、9人の裁判官で違憲が割れ、合憲5、違憲4となり、違憲判断に必要な6に達せず、棄却された。

【参照ページ】Case on the National Greenhouse Gas Reduction Targets Addressing the Climate Crisis

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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