【アイスランド】二酸化炭素排出量がマイナスの地熱発電所、実験稼働開始。世界初 2017/11/03 最新ニュース

 スイス新興企業Climeworksと米国とアイスランドの研究者による共同プロジェクトCarbFixは10月12日、アイスランドのヘトリスヘイジ地熱発電所の二酸化炭素排出量がマイナスとなると発表した。地熱発電所の純二酸化炭素排出量がマイナスになるのは世界初。

 アイスランドはホットプルームという特殊な地理的環境に位置し地熱発電が盛んな国。ヘトリスヘイジ地熱発電所も2006年に完成し、発電設備容量303MWと熱水生成設備容量133MWの両方の機能を有している。今回、ClimeworksとCarbFixが共同で、同発電所に大気中の二酸化炭素を回収、貯蔵するCCS設備を設置。実験稼働が始まった。これにより、ヘトリスヘイジ地熱発電所は発電しながら二酸化炭素を回収する世界初の地熱発電所となった。

 一般的に普及している炭素回収・貯蔵(CCS)技術は、石炭火力発電所や工場等に設置され排出する二酸化炭素を回収する。しかし、今回導入されたCCS設備は「DAC技術」と呼ばれ、純粋に大気中の二酸化炭素を回収できるタイプ。地熱発電所は二酸化炭素を排出しないが、DAC技術であれば、周辺大気中の二酸化炭素を回収できる。この設備はClimeworksが開発した。原理的には世界中どこでも設置が可能だ。

 DAC技術の基本構想は、チューリッヒ工科大学の学生二人が2008年に考案。大気中の二酸化炭素を回収して事業者に販売できると考えた。この技術を形にするため二人はチューリッヒ工科大学からスピンオフし2010年にClimeworksを設立。そして2017年5月31日に第1号「Climeworks DAC-18」がスイス・ヒンヴィールの廃棄物処理事業者の施設に導入された。この設備は、廃棄物焼却の熱をエネルギー源とし、大気中の二酸化炭素を回収。それを地元のグリーンハウス農家に販売するというスキーム。日量約2.5tの二酸化炭素を回収し、グリーンハウスの生産量を20%向上している。

 一方、今回ヘトリスヘイジ地熱発電所に導入されたものは、地熱発電所から出る熱エネルギーを利用して大気中の二酸化炭素を回収した後、水に溶かし、地下深くの玄武岩層に注入、無害な炭酸塩鉱物に変質させ安定的に貯蔵してしまう。二酸化炭素を玄武岩層で鉱物に変質させる過程では、CarbFixの技術が用いられている。CarbFixは2007年に発足し、現在はアイスランドのエネルギー会社レイキャビク・エナジーが主導している。同プロジェクトには、EUの研究助成プログラム「Horizon 2020」、米エネルギー省、アイスランド大学、米コロンビア大学、仏CNRS、スペインのAmphos 21も資金提供している。二酸化炭素を鉱物に変える基本的な化学反応は、酸化カルシウムを二酸化炭素と反応させて炭酸カルシウムに、酸化マグネシウムを二酸化炭素を反応させて炭酸マグネシウムにするというシンプルなもの。ケイ酸塩鉱物が豊富な玄武岩層では、フォルステライト(Mg2SiO4)を二酸化炭素と反応させ、炭酸マグネシウムと二酸化ケイ素に変えるという反応等が期待できる。

 今回導入された手法は、地下に玄武岩層がある世界中の地域で導入できる。ClimeworksとCarbFixは今回パートナーシップを締結し、2025年までに世界二酸化炭素排出量の1%を回収することを目標に掲げた。

【参照ページ】World-first Climeworks plant: Capturing CO2 from air to boost growing vegetables
【参照ページ】Climeworks and CarbFix2: The world’s first carbon removal solution through direct air capture

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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