【イギリス】政府、「LGBTアクションプラン」発表。インターネット調査を基に対策打ち出す 2018/07/13 最新ニュース

 英ペニー・モーダント国際開発相兼女性・機会均等担当相は7月3日、英国内のLGBTの人びとの生活向上に向けた「LGBTアクションプラン」を発表した。同プランは、英国に住むLGBTが置かれている状況を把握する目的で、2017年7月23日から10月15日までの12週間にわたり、インターネットを通じて実施されたアンケート調査の結果を基に作成された。同調査は、LGBTの人々を対象とした全国調査として世界最大の規模だという。

 調査の実施に当たっては、対象者の人数や所在等が把握できていないため、インターネットという方法を選択した。調査への参加資格(回答者)は16歳以上の英国居住者で、自らLGBTまたはインターセックスというアイデンティティをもっていることが条件。但し、インターネットにアクセスできない人は実質的にあ対象とならなかった。

 主な調査項目は、生活満足度、安全、健康、教育、雇用の領域で、有効回答者数は108,100人。回答者の内訳は、61%がゲイまたはレスビアン、26%がバイセクシュアル、4%がパンセクシュアル、2%がアセクシュアル、1%が(queer)クィア(queer)と回答。残りは「解らない」「記述したくない」「その他」「ヘテロセクシュアル」という内容だった。回答の分析は総合リサーチ大手Ipsos MORIが行った。

 今回発表の「LGBTアクションプラン」は、アンケート結果を基に、「生活満足度と安全の確保」「教育」「健康」「職場環境」等の観点から政府の対策をまとめたものとなっている。

生活満足度と安全の確保

 生活満足度の平均(10ポイント満点)は、ゲイ・レスビアン6.9、バイセクシュアル6.3、パンセクシュアル5.9、アセクシュアル5.9だった。国民の平均値は7.7であり、値がやや低い。

 68%の回答者が、否定的な反応(拒否反応)を恐れて同性のパートナーと人前で手をつなぐことを避けている。さらに同様の理由で、70%がLGBTとして公表することを避けている。また(パートナー以外の)家族と同居している人びとのうち、24%が家族に対してLGBTであることを隠していることが明らかとなった。

 5%の回答者が転向療法の提言を拒否したが、約2.4%に当たる2,640人はこれを受け入れた。転向療法の施術者は、宗教関係者51%、医療関係者19%、家族や後見人16%だった。

 政府としてはこのような状況を改善すべく、転向療法の廃止やヘイトクライムに対するリポートと記録そして警察による対応の強化を図る方針。さらにLGBTの人々の生活満足度の向上や、LGBT以外の人々による理解の促進に向け、政府は「LGBT実施基金」を設立し、2020年3月までの活動資金として450万ポンド(約6億6,300万円)を拠出し、その後の予算についても確保する予定。

教育

 学校の授業や集会等で性的指向あるいは性自認について話し合ったことがあるのは3%のみだった。2016年から2017年に在学中だった回答者の3分の1は否定的な反応(拒絶反応)を経験しており、最も多かったのはLGBTであることを本人の許可なく他者に伝えたことで21%。さらに言葉によるハラスメントや侮辱が19%だった。

 政府は、2019年3月までにイングランドの学校1,200校以上に300万ポンド(約4億4,200万円)を拠出しアンチ・ホモフォビック(同性愛に対する嫌悪感の表出への反対)や性的指向・性自認に基づくいじめ等に対処するプログラムを学校教育および広範な教育の中に普及させ、事態の改善を図る政策を進める方針。

健康

  調査前の12カ月以内に公共医療サービスを利用した回答者のうち、少なくとも16%が性的指向を理由とした不快な経験をし、少なくとも38%が性自認により同様の経験をしている。メンタルヘルスサービスを利用した人、または利用しようとした人の51%は「困難だった」と回答し、28%は「非常に困難だった」と回答した。その理由として、長期にわたる待機期間を挙げた人が72%。家庭医(GP)のサポートが不足していたとの回答が22%。その一方で、容易に利用できたと回答した人も28%いた。

 政府は、LGBTの人びとに対するヘルスケアの向上と不平等の解消に向け「LGBTヘルス・アドバイザー」を委託し、問題に積極的に対処して行くという方針。

職場環境

 調査前の12ヶ月以内のある時点で就業していた人のうち72%は、職場でLGBTであることを理由に他人から嫌な反応や複雑な反応をされた経験があった。嫌な反応の内訳は、LGBTであることを本人の許可なく他人に暴露されたが11%、不快に思う言動が11%、言葉のハラスメントが9%あった。また、嫌なことをされた経験のある人のうち77%が、報告しても無駄だと考え、最も深刻だった出来事についても報告していなかった。

 政府は、職場でのインクルージョンを支援するための研修資料を企業に無償配布すると共に、機会均等省が職場でのLGBT差別に対処する研修ツールを開発し、企業と従業員が個々のニーズに合わせて利用できるような対策をとる方針。

【参照ページ】LGBT Action Plan 2018: Improving the lives of Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender people
【レポート】National LGBT Survey Summary Report 2018/07/09
【アンケート】National LGBT survey

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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