アイルランド内閣は7月24日、通信・気候アクション・環境省が提出した新たな再生可能エネルギー推進政策「Renewable Electricity Support Scheme(RESS)」を承認した。これまでの固定価格買取制度(FIT)から買取オークション制度に切り替えることで、コスト競争力の高い再生可能エネルギーの導入を企図する。
アイルランド政府は、2020年までに再生可能エネルギー電力(RES-E)を40%とする目標を立てていたが、新たに2030年までに55%にまで上げると宣言。EU全体では2030年までに32%とするEU指令を先月制定したばかりだが、アイルランドはそれを遥かに上回る状態を目標とし、EUをリードする。同政策は今後、欧州委員会に提出され「EU State Aid」としての承認を目指す。
買取オークションは、制度が終了するまで定期的に実施される。第1回は2019年に実施する計画で、オークション電力量は今後の需給等を見極め今後決定する。提案文書によると、オークションは2025年までに最大5回実施し、各オークション電力量は1GWhから4GWhだが、今後変更となる可能性もある。
オークション電力量は、電源別には設定されず、全体として一括で実施される。一方、陸上風力発電が偏重して伸びている現状から電源構成の分散化を図るため、RESSでは陸上風力発電に上限を設定することを可能とし、太陽光発電や洋上風力発電、バイオマス発電を伸ばしていくための制度設計も盛り込んだ。
RESSの別の特徴の一つは、地域社会を重視した点。買取オークションに申請するプロジェクトは、プロジェクトの中に地域社会を巻き込む要件が課されており、地域社会がプロジェクトに投資したり、受益権を保有する機会の提供が求められる。また、地域社会主導の再生可能エネルギープロジェクトには別途、助成金も支給していく。制度設計では、デンマーク、ドイツ、カナダ、スコットランドを先進事例とし、参考にする。
【参照ページ】Minister Denis Naughten secures Cabinet Approval for Renewable Electricity Support Scheme (RESS)
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