世界37主要都市の市長は5月7日、新型コロナウイルス・パンデミックからの経済復興で気候変動緩和インパクトを重視する「グリーンリカバリー」求める共同声明を発表した。4月29日には11市長が中心にとなり、グリーンリカバリーへの支持を発表しており、今回支持の輪が大きく拡大していることがわかった。但し、現時点では日本の自治体の市長は参加していない。
今回の共同声明は、気候変動対策を推進する地方政府首長のネットワーク「C40」がとりまとめたもの。4月29日には、C40に加盟している自治体から、米シアトル、ニューオリンズ、カナダのモントリオール、イタリアのミラノ、オランダのロッテルダム、ポルトガルのリスボン、韓国・ソウル、香港、オーストラリアのメルボルン、コロンビアのメデリン、シエラレオネのフリータウンの11都市の市長が「グリーンリカバリー」で結束するイニシアチブ「Global Mayors COVID-19 Recovery Task Force」を発足し、C40の活動が活発化していた。議長はミラノ市長が務めている。
今回の共同声明では、新型コロナウイルス・パンデミックでは、社会的弱者により大きな被害が出ることがあらためてわかり、健康や不平等解消のためにも気候変動対策が重要になっていると指摘。経済復興では、「原状復帰」ではなく、気候変動を緩和した新たな社会へと進むべきという考えを示した。
共同声明に参加したのは、上記の11都市に加え、米ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンティアゴ、ヒューストン、オースティン、ボストン、シカゴ、ポートランド、カナダのバンクーバー、英ロンドン、スペインのバルセロナ、ノルウェーのオスロ、デンマークのコペンハーゲン、ギリシャのアテネ、オーストラリアのシドニー、メキシコのメキシコシティ、ブラジルのサンパウロ、クリチバ、サルバドール、アルゼンチンのブエノスアイレス、チリのリマ、コロンビアのボゴタ、イスラエルのテルアビブ、南アフリカのダーバン、フィリピンのケソンシティ。
今回の声明では、経済復興に当たって、9つの原則を提示した。
- 気温を3℃上昇させてしまう「原状」には復帰する
- 市民の生活の安全のため、公衆衛生や科学的見地に基づく復興を実施する
- 復興に最も有効な公共サービス、公共投資、コミュニティ・レジリエンス政策を実施する
- エッセンシャル・ワーカーと認識される人々を讃え、報いる復興策と、インフォーマルな住居に生活している人を支援する政策を実施する。
- 地域コミュニティのレジリエンスの回復を行うため、気候変動を含む将来の脅威から保護し、健康と気候変動リスクから影響を受ける人々を支援するために投資する。
- 気候変動対策は、経済復興と社会の平等を加速し、新技術、新産業、新たな雇用をもたらし、住民、労働者、学生、企業、観光客に幅広い便益を与える。
- 復興では健康、平等、サステナビリティを基に実施することを保証するために全力を尽くす
- 復興が健康、平等、サステナビリティに基づくものになるよう、中央政府に市政府及び市内投資を支援することを保証するため、共同で意見を表明し、個別のアクションを実施する。
- 復興が健康、平等、サステナビリティに基づくものになるよう、国際機関や地域機関に市に直接投資するよう求めるため、共同で意見を表明し、個別のアクションを実施する。
【参照ページ】“No Return to Business as Usual”: Mayors Pledge on COVID-19 Economic Recovery
【参照ページ】11 Mayors Unite to Lead Global Mayors COVID-19 Recovery Task Force
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら