ソロモン諸島の環境相は11月7日、同国でのボーキサイト採掘権を保有する香港大手South West Pacific Bauxite子会ソロモン・ボーキサイトに対し、同国ワジーナ島でのボーキサイト採掘ライセンスを取り消す最終決定を下した。これによりワジーナ島で計画されていた巨大なボーキサイト露天掘り採掘計画が白紙となった。
今回の一連の係争は、ソロモン諸島政府が2014年にワジーナ島でのボーキサイト採掘ライセンスをソロモン・ボーキサイトに与えたことに始まった。同事業は、ワジーナ島の面積の60%に環境影響を与えることが予想されており、同国での自然環境に生活を依存する住民が大規模の反対運動を展開。住民運動側は、同国の環境諮問委員会(EAC)にライセンス取消を認めて提訴。EACは、住民からの同意を取得する義務を怠り、環境アセスメントの結果を住民側に共有する義務も果たしていないとし、2019年にライセンス取消の判断を下した。しかし、ソロモン・ボーキサイトはどう判断を不服とし、控訴判断の役割を担う環境相に控訴していた。
ワジーナ島は、歴史的経緯からソロモン諸島の他の島とは大きく文化が異なり、今回の環境係争は民族紛争の側面もあった。ワジーナ島は、英国植民地時代に植民不能と認識されていが、同じく英国植民地だった隣国キリバスで旱魃が発生した際に、キリバスの一部の島からワジーナ島への住民強制移住を実行。そのためワジーナ島はキリバス文化が継承され、ソロモン諸島とは文化が異なっているという。
今回の決定により、計画されていたソロモン・ボーキサイトの新規採掘計画は頓挫。同社は他の鉱区でも先に土地リース権を獲得しているが、リース権を再獲得するためには再審査が必要となるため、他の鉱区でも採掘できなくなる可能性が出てきた。
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