欧州委員会は11月10日、米アマゾンに対し、Eコマースでの競争を不当に歪めているといて、EU競争法違反の予備的判断を下した。さらに同社の流通サービスでも競争法違反の疑いがるとして本格捜査を開始することも表明した。
今回の違反のポイントは、アマゾンが、同社が獲得したプラットフォーム上の第三者の非公表の小売データを収集し、自社のEコマース事業の便益のために活用している行為が、競争法違反と見做された。すなわち、プラットフォーマーと小売事業者の双方の側面を持つアマゾンが、プラットフォーマーとして知り得た情報を、小売事業者として活用していることが、プラットフォームを活用している他の小売事業者に不利に作用していると判断した。
今回、欧州委員会が、プラットフォーマーとして知り得た情報として挙げたのは、販売件数、出荷個数、プラットフォーム上の売上、ページ訪問数等。これらのデータを、アマゾンの小売事業部門の従業員が幅広くアクセスでき、さらにはビジネスインテリジェンスとして自動システムに組み込まれていたことが、優越的地位の濫用とした。
同事案については、欧州委員会は、他の小売事業者からの申立を受け、7月に本格捜査を開始。今回アマゾンに対し通知した「異議告知書」に、同社が違法性を否定する回答ができなければ、罰則の対象となる。一部報道では、罰金額は最大3兆円にもなるとの見方もある。
さらに欧州委員会は、新たな競争法違反疑いの案件として、アマゾンの「フルフィルメント by アマゾン(FBA)」サービスが、同社の小売事業を優遇していることについての捜査も開始した。特に、同一製品での販売主を自動的に決める「Buy Box」の権限獲得で、アマゾンの小売事業を優遇していることを問題視ている。またプライム顧客へのアクセスについても、アマゾンの小売事業を優遇しているかについて捜査するとした。
【参照ページ】Antitrust: Commission sends Statement of Objections to Amazon for the use of non-public independent seller data and opens second investigation into its e-commerce business practices
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