【ランキング】2021年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 2021/01/26 体系的に学ぶ

【ランキング】2021年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 1

 毎年1月が恒例の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)は、2021年新型コロナウイルス・パンデミックの影響で5月にシンガポールでの開催に延期となり、替わりに1月25日からミニ版のオンライン・イベント「ダボス・アジェンダ」が開催された。

 毎年のダボス会議の目玉のひとつは、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能な企業100社」(ランキング)として発表される。今年は変速手開催のダボス・アジェンダの中でGlobal 100は発表された。早速、2021年の顔ぶれを見ていこう。

Global 100 トップ10

順位 企業 業界
1 シュナイダーエレクトリック フランス 電機
2 オーステッド ノルウェー エネルギー
3 ブラジル銀行 ブラジル 銀行
4 ネステ(Neste) フィンランド エネルギー
5 スタンテック カナダ 建設
6 マコーミック 米国 食品
7 ケリング フランス アパレル
8 メッツォ・オートテック フィンランド 金属
9 アメリカン・ウォーター・ワークス 米国 水道
10 カナディアン・ナショナル鉄道 カナダ 鉄道

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

昨年に引き続きトップ10入りしたのは、

  • オーステッド
  • ネステ(Neste)
  • ブラジル銀行

 の3社。今年は評価手法が大きく変わり、上位ランク企業が大幅に入れ替わった。

 また、日本でも知名度の高い企業やSustainable Japanでしばしば取り上げる企業も多数、11位から100位の間にランクインした。

13位 シスコ・システムズ(米国 ハードウェア)
14位 ストアブランド(ノルウェー 金融)
15位 オーウェンズ・コーニング(米国 製造業)
16位 エーザイ(日本 製薬)
19位 イベルドローラ(スペイン 電力)
20位 TSMC(台湾 半導体)
21位 ヴェスタス(デンマーク 電機)
24位 クリスチャン・ハンセン(デンマーク 食品)
25位 シーメンス(ドイツ 電機)
28位 アクゾノーベル(オランダ 化学)
30位 ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国 ハードウェア)
32位 シスメックス(日本 医療機器)
33位 ABB(スイス 電機)
35位 BTグループ(英国 通信)
36位 ノボザイムス(デンマーク バイオ)
37位 ING(オランダ 金融)
38位 ジョンソンコントロールズ(アイルランド 電機)
39位 アルストム(フランス 電機)
40位 シティ・デベロップメンツ(シンガポール 不動産)
41位 コニカミノルタ(日本 電機)
42位 ナチュラ(ブラジル 消費財)
43位 オートデスク(米国 IT)
44位 ナショナル・オーストラリア銀行(オーストラリア 金融)
46位 BNPパリバ(フランス 金融)
49位 アリアンツ(ドイツ 金融)
50位 HP(米国 ハードウェア)
51位 積水化学工業(日本 化学)
55位 ダッソー・システムズ(フランス ソフトウェア)
58位 キャピタランド(シンガポール 不動産)
59位 インテル(米国 半導体)
60位 サムスンSDI(韓国 電機)
61位 アクセンチュア(アイルランド コンサルティング)
65位 サノフィ(フランス 製薬)
66位 ヴァレオ(フランス 自動車部品)
67位 コメルツ銀行(ドイツ 金融)
70位 ゼロックス(米国 電機)
71位 武田薬品工業(日本 医薬品)
72位 テック・マヒンドラ(インド 自動車部品)
75位 ピアソン(英国 メディア)
76位 アディダス(ドイツ アパレル)
77位 プロロジス(米国 不動産)
78位 レノボ(中国 ハードウェア)
79位 ユニリーバ(英国・オランダ 消費財)
82位 アストラゼネカ(英国 医薬品)
83位 新韓金融グループ(韓国 金融)
84位 SAP(ドイツ IT)
85位 カナディアン・ソーラー(カナダ 電機)
86位 ノルデア銀行(フィンランド 金融)
88位 ヘンケル(ドイツ 消費財)
89位 エリクソン(スウェーデン 通信)
90位 アルファベット(米国 IT)
97位 テスラ(米国 自動車)
98位 ノボノルディスク(デンマーク 医薬品)
100位 エヌビディア(米国 半導体)

 日本からは、エーザイ、シスメックス、コニカミノルタ、積水化学工業、武田薬品工業の5社がランクイン。日本企業のランクイン数は、2015年の1社から2016年と2017年は4社。2018年も4社を維持し、2019年は2倍の8社へ、2020年は6社に減り、今回さらに5社に減った。武田薬品工業は6年連続、積水化学工業も4年連続。花王、トヨタ自動車、パナソニックはランク外となった。

Global 100 地域別社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
ヨーロッパ 44 59 55 49 52 53 59 59 51 49 46
北米 21 14 20 31 32 27 25 22 28 29 33
アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18 18
中南米 3 3 5 2 1 2 2 5 4 3 2
中東・アフリカ 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1

 地域別のトップ100企業数はほぼ変わらず。ヨーロッパと北米を合わせた企業で約8割。アジア・太平洋のランクイン数は18社と昨年と同数だった。

Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
アジア 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18 18
 日本 19 12 4 5 1 4 4 4 8 6 5
 シンガポール 1 2 3 4 4 4 3 3 2 3 3
 韓国 1 2 1 3 4 4 3 3 3 2 2
 オーストラリア 6 6 9 5 4 5 2 2 2 2 2
 中国 0 0 0 0 1 1 1 1 0 2 2
 台湾 0 0 0 0 0 0 0 1 2 2 1
 香港 1 0 1 1 1 0 1 0 0 1 1
 インド 3 1 0 0 1 0 0 0 0 0 1
 トルコ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

 アジア・太平洋地域内のランクイン企業数は、日本が5社でトップ。日本以外では、台湾のTSMC、中国レノボ、韓国の新韓金融グループ、サムスンSDIが連続ランクイン。シンガポール勢は、シティ・ディベロップメンツとキャピタランドがともに連続ラインクイン。台湾からはTSMCが4年連続。今年はトルコからArcelikが初ランクインした。

ランキングの評価方法①(4つのスクリーニング)

 Global 100の選出方法は、昨年から大幅な変更があった。評価対象は上場企業のみで、対象企業は、以前は20億米ドル以上だったが、2020年からは売上10億米ドル以上。

 その後に3段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外される(但し、昨年のGlobal 100ランクイン企業は、自動的にランキングの対象となる)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされる。スクリーニングは以下の2点。

  1. 財務状況
  2. 製品カテゴリー

1. 財務状況

情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされます。具体的には、以下の要件のうち5つ以上満たす必要がある(PiotroskisのFスコアと呼ばれている)。

  1. 純利益が黒字であること
  2. 営業キャッシュフローが黒字であること
  3. (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること
  4. 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること
  5. 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと
  6. 流動比率が高まっていること
  7. 前年に普通株式発行を行っていないこと
  8. 粗利益が前年より増加していること
  9. 総資産回転率が向上していること

2. 製品カテゴリー

 財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われる。今年は大幅な変更があった。

  1. 医薬品アクセスインデックスで下位25%の製薬会社
  2. 栄養アクセスインデックスで下位25%の食品会社
  3. Motley Fool、Wespath、Sin Stocks、RedLightNetworkでリストアップされたアダルト企業
  4. InfluenceMapで気候変動ロビー活動がレッドの企業
  5. InfluenceMapで気候変動議決権行使が下位25%の運用会社
  6. NBIMに投資除外指定されたセメント会社
  7. NZ SuperFundに投資除外指定された民間武器会社
  8. NBIMとNZ SuperFundに投資除外指定された問題のある武器メーカー
  9. ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が問題のある武器売上比率50%と認定している武器メーカー
  10. Chain Reaction ResearchまたはNBIMが森林破壊関与と認定している企業
  11. GICSで化石燃料セクターに位置づけられており、新規投資の脱炭素向け割合が20%未満の企業
  12. 動物福祉専門機関により「遅れている」と認識された企業
  13. アメリカ・フレンズ奉仕団に投資除外推奨されている営利刑務所運営会社
  14. GICSでギャンブルセクターに位置づけられている企業
  15. NBIMに腐敗で投資除外指定されている企業
  16. 罰金・和解金の対売上比が1.1%を2年連続で超えた企業
  17. NBIMにオイルサンドで投資除外指定されている企業
  18. NBIMに著しい環境破壊で投資除外指定されている企業
  19. NBIMに人権侵害で投資除外指定されている企業
  20. NBIMに一般炭(石炭)で投資除外指定されている企業
  21. NBIMにたばこで投資除外指定されている企業

ランキングの評価方法②(スコアリング)

 スコアリングする際の評価基準は、24項目に分類され、昨年までの21項目から3つ増えた。そのうち12項目が必須項目で業種になく評価に用いられる。その他12項目は、業種に応じたウエイトが用意されている。

  • エネルギー生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷(直接的および間接的なエネルギー消費量ー再生可能エネルギー消費量)
  • GHG生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 二酸化炭素排出量(スコープ1とスコープ2)
  • 水生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 水使用量
  • 廃棄物生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 廃棄物排出量
  • VOC生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ VOC排出量
  • NOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 窒素酸化物排出量
  • SOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 硫黄酸化物排出量
  • PM生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ PM排出量
  • イノベーション能力: R&D投資 ÷ 過去3年売上
  • 税納付: 納税額 ÷ 過去5年EBITDA
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 年金保護: 75% ×(DB及びDC年金掛金total ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)+ 25% ×((DB年金資産の公正価値 ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)− (1-(DB年金資産の公正価値 ÷ 負債パーセンタイルランク))
  • サプライヤー:ブルームバーグのデータをもとに企業の最大サプライヤーを特定。そのサプライヤーをGlobal 100と同じ評価方法でスコアリングした際のスコア
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数: 事故死者数 ÷ 総従業員数
  • 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数
  • 有給休暇(新規追加):本社所在国で有給休暇10日以上、有給中の給与50%以上支給
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 経営陣の人種マイノリティ比率(新規追加):本社所在国の従業員の人種比率と経営陣の人種比率の差
  • 取締役の人種マイノリティ比率(新規追加):本社所在国の従業員の人種比率と取締役の人種比率の差
  • 役員報酬制度:サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無
  • クリーン売上:Corporate Knightsが指定する「クリーン」商品・サービス売上比率
  • クリーン投資(新規追加):Corporate Knightsが指定する「クリーン」R&D投資・設備投資・M&A投資比率

最終ランキングの作成

 最終ランキングは全業界横断での評価ではなく、まず業界ごとのスコアランキング表が作られる。そして、ベンチマーク指標であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)でのセクター(業界)割合を用い、各業界からの最終ランキングに入ることができる業界ごとの企業数を割り当てる。最後に、その業界割当数を用い業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れられる。

【ランキング】Global 100 2021

著者プロフィール

夫馬 賢治

株式会社ニューラル 代表取締役CEO

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