
KPMGジャパンは6月3日、英ロイター社と共同で実施した「経済安全保障・地政学リスクサーベイ2026」の調査結果を発表した。同調査は今回で3回目となり、変化する国際情勢下での企業の対応状況を明らかにし、海外事業やサプライチェーン戦略の検討に資する情報を提供することを目的としている。
今回の発表では、中国の輸出規制強化等を背景に、企業が最も懸念するリスクの首位は70.2%で「中国による貿易規制」となった。さらに、米国の通商政策による影響への対応として、売上高5,000億円以上の大企業の57.4%が「中国におけるサプライチェーン依存度の縮小」を検討していることが明らかになった。また、米国政権による相互関税政策に対しては「価格転嫁」を検討する企業が44.7%と最多で、高関税を自社努力のみで吸収することが困難な実情が示された。
他地域の地政学リスクでは、台湾情勢が緊迫化した場合のリスクとして、「空海域の封鎖によるサプライチェーンの途絶」が44.0%で最多となった。一方、中東情勢の緊迫化を受けた「エネルギー価格高騰への備え」は前回調査より低下したが、調査直後に中東紛争が発生しており、突発的なリスク予測の難しさを指摘している。
不確実性の高まりを受け、企業のガバナンス体制も変化している。売上高5,000億円以上の企業の約半数が「地域統括会社を設置」しており、各国のデータ保護規制やサプライチェーンの多元化に対応するため、現地での意思決定体制を強化している。また、日本政府の「セキュリティ・クリアランス制度」については、「サイバー脅威に関する情報共有」や「サプライチェーンの脆弱性情報へのアクセス」といった領域での活用に関心が集まっている。
【参考】【日本】重要経済安保情報保護活用法、成立。セキュリティ・クリアランス制度始まる(2024年5月10日)
反ESGの動きへの対応については、「ステークホルダーとの対話強化」との回答が20.6%で最多だった。「反ESGの影響を受けやすい事業の縮小」を検討する企業は2.4%しかなく、企業はサステナビリティの取り組み自体を後退させるのではなく、コミュニケーション戦略を見直すことで対応しようとする傾向が見られた。
(出所)KPMG
【参照ページ】経済安全保障・地政学リスクサーベイ2026
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