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【日本】日本郵船、日本初のトランジションボンド発行。アンモニア燃料船やLNG燃料船等

 日本郵船は7月2日、日本初のトランジションボンドを発行すると発表した。発行額は5年債が100億円程度、7年債/10年債が100億円程度。同月中の発行を予定している。主幹事は、5年債が三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券、ゴールドマン・サックス証券、みずほ証券。7年債/10年債が三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券、SMBC日興証券。

 同社債の資金使途は、同社の「NYKグループESGストーリー」に掲げたエネルギー分野の事業タイムライン(ロードマップ)で予定している投資分野。具体的には、洋上風力発電支援船、アンモニア燃料船、水素燃料電池搭載船、LNG燃料船、LNG燃料供給船、LPG燃料船、運航効率化と最適化等。

 同社債のセカンドオピニオン提供は、DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン。準拠適合を確認したガイドラインは、国際資本市場協会のグリーンボンド原則(GBP)とクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTFH)、金融庁・経済産業省・環境省の「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」、環境省のグリーンボンドガイドライン。気候債券基準3.0版の技術基準も参照した。

【参考】【国際】経産省、環境省、金融庁、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針策定(2021年5月10日)
【参考】【国際】ICMA、気候変動移行を資金使途のESG債に追加要件設定。発行体全体の戦略や目標等(2020年12月11日)
【参考】

 今回の社債は、グリーンボンド原則にも適合しているため、グリーンボンドとも呼称できるが、さらにクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTFH)にも適合していることを明確にするため、トランジションボンドと名付けたと模様。また、気候債券基準3.0版では、天然ガス(LNG)燃料船は厳しい基準が課せられているため、今回、気候債券基準3.0版の技術基準については「適合」ではなく「参照」の評価に留まった。それでも、日本政府の政策に基づき、2050年までの「低炭素」に資する資金使途についても積極的に「トランジション」ブランドで発行したとも考えられる。

【参考】【国際】CBI、海運セクターのグリーンボンド基準案公表。LNG運搬船除外。パブコメ募集(2020年5月3日)

 同社債は、経済産業省の「令和3年度クライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に係るモデル事例」に国内で初めて選定された。

 同社は6月15日、LNG(液化天然ガス)を主燃料とする自動車専用船について、新来島どっくとの間で6隻、日本シップヤードとの間で6隻の連続建造で覚書を締結したことも発表している。2025年度から2028年度にかけて順次竣工する予定。従来船と比べ、二酸化炭素排出量を約40%削減できる。同社はすでに、2020年10月に竣工した本邦初のLNG燃料自動車専用船「SAKURA LEADER」から順に、新造自動車専用船のLNG燃料船への切り替えを実施。2024年までにすでに8隻の投入が決まっており、今回の発表を含めると合計20隻となる。投資額は合計2,000億円弱。2030年頃からは水素やアンモニア等を燃料とするゼロエミッション船の投入も目指している。

 さらに6月29日には、同社が運航するばら積み船「フロンティア・ジャカランダ」が、シンガポール港でバイオ燃料を補給し、南アフリカのサルダナ・ベイまでの航路で試験航行に成功したことも発表。同社にとってバイオ燃料の試験航行は、2019年のばら積み船「フロンティア・スカイ」がロッテルダムで行って以来、2回目となった。

【参照ページ】本邦初、トランジションボンドを発行
【参照ページ】12隻のLNG燃料自動車専用船を連続建造
【参照ページ】シンガポール港にてバイオ燃料を補油

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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