米ジョー・バイデン大統領は9月15日、対米外国投資委員会での外国法人による投資の審査プロセスに関し、国家安全保障上考慮すべき観点を定義した大統領令に署名した。1975年に同委員会が設立されて以来、経済安全保障の視点から考慮すべきリスクに関して大統領令を発するのは今回が史上初。
今回の発表は、同委員会に対して外国法人による投資の審査プロセスを国家安全保障に関する5つの観点で見直すよう指示したもの。1つ目の観点は、防衛産業を含む米国の重要なサプライチェーンのレジリエンスへの影響。サプライチェーン全体の多様化の程度、米国政府との供給関係、サプライチェーンにおける外国人による所有権、支配権の集中度などが含まれている。
次に、技術的先進分野の保護。マイクロエレクトロニクス、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、量子コンピューター、クリーンエネルギー、気候変動に関する技術、食料安全保障に関わる技術等の重要な分野を特定し、国家安全保障に関わる取引でないかを判断できるようにする。
3つ目は、過去の買収を含めた投資動向。単独では脅威には見えない買収でも、過去の取引との関連から重要産業における機密技術の移転など国家安全保障に影響を与える可能性がある。単一セクターまたは関連セクターにおける複数の買収、投資を考慮し、発生するリスクに対して適切に対応できるようにする。
4つ目は、サイバーセキュリティリスク。国家安全保障を損なう可能性のある取引の当事者全てに対し、サイバーセキュリティに関する能力や行動に関して検討する必要があると規定した。
最後に、個人の機密データに関するリスク。対象取引が個人の機密データにアクセスできる米国企業を含むか、国家安全保障に影響を与えるような行動をしたことやその能力があるかを検討する。
【参照ページ】FACT SHEET: President Biden Signs Executive Order to Ensure Robust Reviews of Evolving National Security Risks by the Committee on Foreign Investment in the United States
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