ガーナ政府は12月22日、対外債務の大半の支払いを停止。事実上のデフォルトに陥った。ガーナ財務省が、「暫定的な緊急措置」として、ユーロ債、商業ローン、二国間融資を含む債務の大半の支払いを行わないと発表した。しかし、暫定がどの程度の期間になるかは不明。また、多国間債務、12月19日以降の新発債、特定の短期貿易枠に関連した債務支払いは停止対象には含まれないと明言した。
ガーナは、新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり、財政が急速に悪化。ユーロ債の新規発行が事実上不可能になるとの懸念により、すでに複数の格付機関が格下げを実施。2022年初から債務の借換に苦慮していた。9月時点で、ガーナの国債残高は4,674億ガーナセディ(約6.5兆円)で、そのうち42%が国内債務。ガーナ政府は歳入の70%から100%を債務返済に充てているが、同国のインフレ率は11月に50%にまで跳ね上がった。
国際通貨基金(IMF)は10月、ガーナとワシントンDCで2回に渡ってガーナのオフォリ・アッタ財相、アディソン・ガーナ銀行総裁と会談。12月12日には、IMFは、ガーナに対し、今後3年間、30億米ドル(約4,000億円)のコミットメントラインを追加設定することで事務方レベルでの合意に達していた。一方、IMFが政府の歳出引締めを迫るとの感触から、ガーナの首都アグラではIMFとの合意に対するデモも発生している。
今回の事態に際し、ガーナ国債のユーロ債の保有者は、債権者委員会を発足。ガーナ政府との債務再編の交渉を開始する。債権者委員会の運営委員会は、Abrdn、アムンディ、ブラックロック、グレイロック、ナインティワンで構成されている模様。ガーナのユーロ債は、中国関係者の保有がスリランカやザンビアよりも少なく、交渉の見通しは明るいという。但し、それでも中国は約35億米ドル分を保有しており、難交渉になるとの見方もある。
ガーナ政府は12月2日、先行して国内発行の国債のデフォルト意向を表明。債権者に対し、12月19日までに現在の債券を引き渡し、価値が大幅に下がる4種類の債券を受け取るよう命じていた。国内発行国債は60種類以上あり、償還期限は平均3年強だが、新規発行債券の平均償還年数は11年と長い。平均利回りも年20%以上だったが、新規発行債券は平均10%以下。国債保有の多い年金基金等は、強制スワップに大きく反発している。
【参照ページ】IMF Reaches Staff-Level Agreement on a $3 billion, three years Extended Credit Facility with Ghana
【参照ページ】Key Questions on Ghana
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