【国際】COP28、開幕4日間で8.4兆円の資金コミット獲得。政府負債へのCRDC導入拡大でも進展

　国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議（COP28）議長国のアラブ首長国連邦（UAE）は12月4日、11月30日の開幕からの合計で570億米ドル（約8.4兆円）の資金動員コミットメントを得たと発表した。

　そのうち大半を占めるのは、UAE政府自身が発表した新たな気候変動投資ファンド「ALTÉRRA（アルテラ）」への300億米ドルの資金拠出。他にもUAEは、気候変動に脆弱な国々のレジリエンスを支援するために2億米ドル（約300億円）、水の安全保障に1.5億米ドルの拠出も発表している。

【参考】【UAE】政府、COP28で途上国の気候変動レジリエンスに300億円拠出発表。IMFのSDRで（2023年12月4日）

　続いて大きいのは、世界銀行が12月1日に発表したコミットメント。世界銀行は、2024年7月1日からの2025年6月30日までの会計年度で、年間の総融資額の45%を気候変動関連プロジェクトに充当することを表明。単年で400億米ドル以上の融資を投入することになり、既存の計画からの増額分は90億米ドルとなる。世界銀行は12月4日には、メタン漏出排出削減で、今後18ヶ月以内に15ヶ国以上でのプログラムを発足し、最大1,000万tのメタン削減を目指すことも表明している。

　他には、各国政府、企業、財団、企業等から、緑の気候基金（GCF）の資金拡充のために35億米ドル、保健分野に27億米ドル、食料システムの変革で26億米ドル、自然保護のために26億米ドル、都市の気候変動対策のために4億6,700万米ドル、救援・復興・平和のために12億米ドルの拠出が表明された。ロス&ダメージ基金にも7億2,500万米ドルの拠出がすでに表明された。

【参考】【国際】COP28開幕。ジャベール議長は「柔軟性」強調。ロス&ダメージ基金が正式運営開始（2023年12月1日）

　エネルギー分野では、再生可能エネルギーに25億米ドル、メタン排出削減に12億米ドルのコミットメントがあった。さらに、クリーンエネルギー製造への投資促進で5億6,800万米ドルの拠出表明があった。

　12月4日のCOP28「ファイナンス・デー」では、英政府、フランス政府、世界銀行、米州開発銀行（IDB）、欧州投資銀行（EIB）、欧州復興開発銀行（EBRD）、アフリカ開発銀行（AfDB）が、融資における「気候レジリエント債務条項（CRDC）」の拡大にもコミットした。また、合計73カ国政府からも2025年までにDRDCの利用拡大に賛同した。CRDCは、各国が気候変動による大災害に見舞われた際に、債務返済を一時停止することができる制度。COP28では、信用格付機関からも、CRDCの活用が国債格付に影響を与えないようにする基準改定を検討するとの表明もあった。国際資本市場協会（ICMA）も2022年11月、CRDCのモデル条項を発表している。

【参照ページ】COP28 mobilizes over $57 billion in first four days, setting the pace for a new era in climate action
【参照ページ】World Bank Group Doubles Down on Financial Ambition to Drive Climate Action and Build Resilience
【参照ページ】World Bank Steps Up Efforts to Address Methane Emissions
【参照ページ】COP28 FINANCE DAY UNLOCKS INNOVATIVE FINANCIAL MECHANISMS TO SUPPORT VULNERABLE COUNTRIES FIGHT CLIMATE CHANGE
【参照ページ】ICMA publishes new climate resilient debt clauses to facilitate sovereign debt relief and financial stability

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