企業栄養評価の国際団体「栄養アクセス・インデックス(Access to Nutrition Index:ATNI)」は11月22日、インド大手食品・飲料企業20社の製品の栄養に関する評価結果を発表した。
今回の発表は、インド市場の総売上高の36%を占める食品・飲料企業20社を対象に栄養に関する評価を実施したもの。対象企業はコカ・コーラ・インド、モンデリーズ・インド、ペプシコ・インド、ネスレ・インド、ヒンドゥスタン・ユニリーバ等。インド現地のローカル大手も対象となった。対象製品数は1,901。同様の評価は2016年、2020年にも行われ、今回が3回目。
インドの加工食品、飲料の売上は2011年以降年率15%で急成長しており、それに伴い高脂質・高糖質・高食塩(HFSS)の加工食品の売上も2030年までに倍増すると予測されている。一方で、鉄分やビタミンA等の微量栄養素欠乏、肥満が高い水準で発生している。ANTIはこれまでの評価結果においても健康基準を満たすようガイドラインに沿った製品開発を主張していた。
ランキングの結果は、現地のITCが最高得点の6.2をマークし首位。そのあとに、ヒンドゥスタン・ユニリーバ、ネスレ・インド、ペプシコ・インドに続いたが、スコアは3点から5点の間だった。
栄養評価では、世界的に有名なオーストラリアの評価指標Health Star Rating(HSR)を用いた。1,901製品のうち83%が健康的でない製品であり、健康的でない製品からの売上は全体の76%を占めていたが、20社のうち6社が健康的な食品から40%以上の売上を得ていた。
20社のうち10社が栄養戦略を策定しており、自社製品ポートフォリオにおいてHFSSを削減するための目標を掲げている企業は7社、子供に対する責任あるマーケティング方針を公表しているのも7社だった。労働者向けの栄養プログラムを実施しているのは5社、そのうち2社は測定可能な目標設定をしていた。また、7社が責任あるアドボカシー活動を実施し、6社が製品ラベルに適切な栄養に関する情報を表示していた。
ANTIは、製品ポートフォリオを改善し2030年までに売上と製品のポートフォリオの最低50%を健康な製品とすること等を求めた。各社の健康に関する基準が統一されておらず、企業ごとに異なる独自基準を活用した評価となっているため、栄養プロファイルモデル(NPM)を活用し製品の評価を行うことを推奨した。企業だけではなく投資家、政府向けにも提言を行い、栄養に関する投資戦略の策定や必要なガイドラインの導入の必要性等を訴えた。
【参考】【国際】ATNI、NPMフレームワーク策定プロジェクト発足。WBCSDが支援。栄養分野のESG(2023年6月10日)
【参照ページ】New Nutrition Index Spurs Market Shift from Food Companies and Investors in India
【参照ページ】India Index 2023
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