国際通貨基金(IMF)は1月14日、生成AIと今後の仕事内容を分析したスタッフ・ディスカッション・ノートを公表した。IMFの研究者らが執筆しており、必ずしもIMFの機関としての見解を伝えるものではない。
同ノートの主な結論は、AIは、特に労働市場で、世界経済を再構築する可能性を秘めているというもの。世界の雇用の約40%がAIによるインパクトにさらされると試算した。とりわけ、雇用構造が知識集約的な役割に集中している先進国では、AIの恩恵と落とし穴の双方を早めに経験することになり、AIによるインパクトを受けるのは雇用の約60%とした。
AIインパクトの大きい層は、特に大卒と女性。これまでの自動化では、中熟練労働者へのインパクトが大きかったが、AIは高所得労働者にも及び、AIに取って替わられるリスクが高くなる。一方、AIと補完関係にある仕事では、さらに所得を向上させる効果が予見されるため、AIに代替される仕事から、AIを補完する仕事に移行していく必要があるとした。
年齢毎では、新たなテクノロジーに順応しやすい若年労働者は、新たなチャンスを得られやすいが、高齢労働者は再雇用、テクノロジーへの適応、職業転換、新たな職務スキルの訓練に苦戦する可能性があるとした。
AIがもたらす雇用全体への影響では、AIは世界の総所得を押し上げると分析。AIとの補完性を高めることに成功すれば、高所得労働者の労働所得は比例以上に増加し、賃金格差が今まで以上に拡大する見込み。AI所有権の定義に関する各国の選択、再分配政策等が、最終的に所得と富の分配への影響を形成すると見立てた。
AIによる恩恵を広く行き渡らせるためには、AI普及が相対的に遅れる新興国や発展途上国でのインフラ整備と労働力の再構築にあるとした。また先進国や新興国では、AIのイノベーションと導入に投資しながら、AIの利用拡大による便益を最適化する規制枠組みが必要になるとした。
【参照ページ】Gen-AI: Artificial Intelligence and the Future of Work
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら