
米連邦政府は5月28日、ボランタリーカーボン市場(VCM)に関する原則「責任ある参加のための原則」を発表した。信頼性の高いカーボンクレジットの流通にコミットする政策も表明した。
今回の発表には、イエレン財務長官、ヴィルザック農務長官、グランホルム・エネルギー長官、ジョン・ポデスタ国際気候政策上級顧問、レール・ブレイナード国家経済顧問、アリ・ザイディ国家気候顧問が署名した。
今回の発表では、現行のカーボンクレジット制度では、カーボンニュートラルに向けた成果を確実に生み出しているとは言えず、透明性のある取引を行うために必要な高いインテグリティ基準を満たしていないと主張。カーボンクレジットの需給に関する確固とした基準の確立、市場機能の改善、全ての参加者の公平・公正な待遇の確保、公正なベネフィット分配を含む環境正義の推進、市場の信頼性の確立等が必要とした。
今回の発表の原則は7つの原則で構成されている。
- カーボンクレジットと創出活動は、信頼できる大気インテグリティ基準を満たし、真の脱炭素化を表すべき。
- クレジット創出活動は、環境・社会的悪影響を回避し、場合によっては、コベネフィットと透明で包括的なベネフィットシェアを支援すべき。
- クレジット利用企業は、自らのバリューチェーンにおける測定可能な排出削減を優先すべき。
- クレジット利用企業は、購入・償却したクレジットの内容を公表すべき。
- クレジット利用企業による対外訴求は、償却されたクレジットの気候影響を正確に反映すべきであり、高いインテグリティ基準を満たすクレジットにのみ依拠すべき。
- 市場参加者は、市場のインテグリティを向上させる取り組みに貢献すべき。
- 政策立案者と市場参加者は、効率的な市場参加を促進し、取引コストの低減を図るべき。
米連邦政府は今回、クレジット創出側と購入企業側の双方に求められるボランタリーカーボン市場の要件として、独立機関による検証、実質性、追加性、永続性、独自性、排出削減または除去等を兼ね備えた高いインテグリティを確保する必要があると表明した。
国際的なボランタリーカーボンクレジット基準策定ガバナンス機関ICVCMは同日、今回の米連邦政府の発表に歓迎の意を表明。「米政府のサプライ側の原則は、ICVCMのコアカーボン原則(CCP)に沿ったものであり、インテグリティの高い炭素クレジットのための世界初の独立したベンチマークを確立するものとなる」と述べた。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Announces New Principles for High-Integrity Voluntary Carbon Markets
【参照ページ】Integrity Council welcomes US Govt’s high-integrity principles for carbon credits
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