
欧州委員会10月31日、デジタルサービス法(DSA)に基づき、中国・拼多多傘下のアパレルEコマース大手Temuに対し、違法な商品の販売、中毒性のあるサービスの設計、ユーザーに購入を勧めるためのシステム、研究者のためのデータアクセスに関連する分野で違反の可能性があると判断。正式調査を開始した。
欧州委員会は5月31日、中国アパレルEコマース大手Temuを、DSA上の超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)に指定。それによりTemuは9月末までにリスク評価報告書を欧州委員会に提出。欧州委員会は6月28日と2024年10月11日にTemuに対し、正式な情報提供要請(RFI)を発出しており、同社はそれに対する回答書も提出していた。その結果、欧州委員会は、違反の可能性があると判断した。
今回の発表では、Temuの複数の事象を問題視している。まず、同社は過去にEU法違反製品を販売していたことが知られており、すでに取引停止処分を受けた不正事業者の再発防止策に不備があるとみている。また、ゲームのような報酬プログラムを含むサービスの中毒性デザインに関連するリスク、そのような中毒性デザインに起因するリスクを軽減するためにTemuが導入しているシステムにも、同法上の義務が果たされていないとみている。
他に、ユーザーにコンテンツや商品をレコメンドする手法について、主なパラメータを開示し、プロファイリングに基づかない1つ以上の簡単にアクセスできる選択肢をユーザーに提供する義務も履行されていない模様。研究者が同社の公開データにアクセスできるようにするDSA義務も遵守されていない模様。
今回の正式調査開始により、調査権限が、同法に基づくデジタルサービス調整官やEU加盟国当局から欧州委員会に移る。欧州委員会はTemuに対し、追加情報提供命令、面談や査察の実施等を実施できるようになる。また、欧州委員会は、暫定措置の採択や不遵守の決定等、行政処分を行う権限も獲得する。同社側が表明した対策を同社側に法的にコミットさせる権限も獲得する。
一方、EU消費者法に関する消費者保護協力(CPC)ネットワークに加盟する各国の消費者保護当局による強制措置や、一般製品安全指令に基づいて市場監視当局が取りうる措置や決定については同時並行で行われる可能性もある。
【参照ページ】Commission opens formal proceedings against Temu under the Digital Services Act
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