
米環境保護庁(EPA)は11月12日、石油・ガス部門からのメタン排出に課徴金を科す最終ルールを発表した。一方、トランプ次期大統領は、同ルールの廃止をすでに表明しており、実際に発動することはない見通し。
EPAは3月、大気浄化法に基づき、新規及び既存の石油・ガス施設からのメタン排出やその他の有害な大気汚染を大幅に削減する最終ルールを発表。さらに、インフレ抑制法では、連邦議会はEPAの最終基準を補完し、廃棄物排出チャージや資金・技術支援のための資金提供等、メタン排出削減プログラムの下で追加措置の枠組を設けている。
EPAは今回、インフレ抑制法(IRA)に基づき、「廃棄物排出チャージ」制度の最終内容を発表した。課金対象は、温室効果ガス報告プログラムに年間二酸化炭素換算で25,000tを超える排出量を報告している石油・ガス施設。法令で規定されたメタン原単位排出量を超えたスコープ1排出量に対して課金される。但し、最近決定された石油・ガス事業に関する大気浄化法のEPA基準を順守している施設は、連邦議会が定めた一定の基準を満たした場合には、課金の対象外となる。
課徴金額は、2024年分が1t当たり900米ドル、2025年は同1,200米ドル、2026年以降は1,500米ドル。石油・ガス事業者が州の計画への完全遵守を達成するまで適用される。EPAは、これにより、2035年までに120万tのメタン削減につながると試算している。同時にエネルギー産業の競争力が強化されるとみている。
これに対し、米国石油協会(API)は同日、米国の石油・ガス企業は、エネルギー生産と排出削減で世界をリードしており、メタン排出量は2015年から2022年の間に37%減少したと強調。米国の陸上天然ガス・石油業界の70%近くが加盟する「環境パートナーシップ」等の業界主導のイニシアチブもあり、今回の課徴金ルールは、米国の家庭や企業の増大するエネルギー需要に対応する能力を妨げ、有意義な排出削減を進めることができないと反発した。
一方、世界資源研究所(WRI)は同日、同ルールにより、大気汚染も削減されるとし、トランプ次期大統領が同ルールを撤回した場合、米国国民の健康を危険にさらすことになると伝えた。
【参照ページ】EPA Finalizes Rule to Reduce Wasteful Methane Emissions and Drive Innovation in the Oil and Gas Sector
【参照ページ】API Statement on Final Methane Fee Rule
【参照ページ】STATEMENT: U.S. Methane Fee Holds Oil and Gas Producers Accountable for Pollution
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