
欧州委員会とEU消費者当局の消費者保護協力(CPC)ネットワークは11月12日、ジオ・ブロッキング規則とサービス指令に基づき、アップルに対し、特定のアップル・メディア・サービス(App Store、Apple Arcade、Music、iTunes Store、Books及びPodcasts)で、違法となっているジオ・ブロッキング行為を複数確認したと通知。EUのアンチジオ・ブロッキング規則を遵守するよう命じた。
同法では、消費者保護協力(CPC)規則に基づき、EU加盟27カ国及びノルウェーとアイスランドの各国消費者当局がCPCネットワークを形成し、国境を越えた違反行為に対する調査と執行を担当する他、欧州委員会が、合同調査と執行を促進し、状況によっては調整も行うこととなっている。
EUでは、ジオ・ブロッキング規則が2018年に制定。EU/EEA全域の個人及び企業が、商品及びサービスへのより良いアクセス条件を確保することを目的としている。同規則は、EU単一市場で運営されている全てのアプリストアに適用。グーグルは2023年に、CPCネットワークのアクションを受け、EU全域でアプリにアクセスできるようにするために、Google Playstoreの異なる国のバージョンを閲覧する方法を明確にし、ジオブロッキング規制に基づく義務について開発者に通知し、ユーザーがグーグルストアでEUのどの国の支払い手段も利用できるようにすることにコミット済み。
アップルに対しては、ベルギー、ドイツ、アイルランドの規制当局が調査を主導。CPCネットワークは今回、アップルが複数の違法状態にあることを特定した。まず、アップル・メディア・サービスでは、EU/EEAの国毎に異なるインターフェースを持っており、当該サービスのアプリ版では、ユーザーはアップル・アカウントを登録した国向けのインターフェースにしかアクセスできず、これを変更しようとすると大きな困難に直面する状態となっている。
次に決済方法でも、アップル・メディア・サービスで課金する場合、ユーザーは、アップル・アカウントを登録した国で発行された支払手段(クレジットカードやデビットカード等)のみしか使用できない。
App Storeでも、EU/EEA加盟国のバージョンにしかアクセスできず、ユーザーは他の国で提供されているアプリをダウンロードすることができない。欧州委員会は、ユーザーがEU/EEA加盟国に渡航または一時的に滞在する際には、EU/EEA加盟国で提供されているアプリをダウンロードできるようにすべきとした。
今回の措置を受け、アップルは1ヶ月以内に、CPCネットワークの調査結果に回答し、ジオ・ブロッキング違法行為への対処方法を提出しなければならない。CPCネットワークは対策が不十分と判断した場合、同社との直接協議に入る。また、アップルがCPCネットワークから指摘された懸念に対処しない場合、各国当局は強制措置を発動することも可能。
また欧州委員会は11月4日、アップルに対し、同社のiPadOSに関し、デジタル市場法(DMA)に基づく全ての義務を遵守するよう通知している。iPadOSは4月、欧州委員会によってデジタル市場法上のゲートキーパーに指定されており、義務遵守が課せられている。アップルは11月1日、同法上に基づく遵守報告書を公表しており、欧州委員会の審査が始まった。
今回の発表では、特に、ユーザーがiPadOS上で好みのデフォルト・ウェブ・ブラウザを設定できるようにすること、同社のOS上で代替アプリストアを利用できるようにすること、ヘッドフォンやスマートペンなどの付属機器がiPadOSの機能に効果的にアクセスできるようにすること等が求められている。
【参照ページ】Commission and national authorities call on Apple to stop geo-blocking practices on Apple Media Services
【参照ページ】Apple’s operating system iPadOS must comply with all relevant obligations under the Digital Markets Act
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