
エネルギー世界大手英シェルは12月5日、2023年から開始した大規模な事業再編の一環として、電力事業の分割と、新規の洋上風力発電プロジェクトの開発停止を発表した。
今回の発表では、シェルの電力子会社シェル・エナジーから、発電事業を行う「シェル・パワー」を分離独立。シェル・エナジーは、B2Bリテール、カスタマー・ソリューション、マーケティング、トレーディング、蓄電開発の事業専業となる。シェル・エナジーは現在、世界中で約3.4GWの再生可能エネルギー設備容量を保有。2023年には、英国の電力消費量の約88%に相当する約279TWhの電力を顧客に販売している。
シェルの広報担当者によると、シェル・エナジーとシェル・パワーは、別の法人とはなるが、緊密に連携していく考え。事業集中、説明責任、事業デリバリーを改善するという。
また洋上風力発電への新規開発停止は、洋上風力開発コストの増大化に伴うものと言える。同社は、財務の立て直しを急いでおり、過去数ヶ月で、米国の用っ条風力発電プロジェクトの権益をオーシャン・ウィンズに、韓国での浮体式洋上風力発電プロジェクトの権益をヘキシコンに、フィリピンでの洋上風力発電プロジェクト3件の権益も現地企業に売却を決定。また太陽光発電や水素の事業も縮小している。同時に、小売電力事業、製油所、ナイジェリア等での含む石油・ガス生産の一部売却も実行している。同社は、すでに投資済みの洋上風力発電プロジェクトについては、引き続き継続するという。
また同社は12月5日、ノルウェー・エネルギー大手エクイノールとの間で、英国に折半合弁会社を設立し、両社の英国北海での石油・ガス生産事業を分離統合することも発表した。
英国では現在、エクイノールが石油換算で日量約38,000バレル、シェル子会社のシェルUKが同日量100,000バレルを生産している。統合すると同日量140,000バレル以上の石油生産能力となり、北海最大のエネルギー開発会社となる。当局の承認を待って、2025年に設立される予定。
新合弁会社は、英アバディーンに本社を置き、エクイノールが保有するマリナー、ローズバンク、バザードの権益と、シェルが保有するシアーウォーター、ペンギンズ、ガネット、ネルソン、ピアース、ジャックドー、ビクトリー、クレア、シーハリオンの権益を移管する。双方の探鉱ライセンスの一部も移管する。
エクイノールは10月、デンマークのオーステッドの株式9.8%を取得し、再生可能エネルギー開発の強化を実行。さらに保有株式比率を10%にまで高める計画だが、新規の洋上風力発電事業の自身での開発は最小化する方針を検討している。bpも同様に、洋上風力発電事業の少数持分の売却を検討していると報じられている。
【参照ページ】Shell and Equinor to create the UK’s largest independent oil and gas company
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら