
欧州委員会は5月6日、ロシア産石油・ガス輸入とロシア原子力エネルギー依存を段階的に廃止する政策「REPowerEUロードマップ」をさらに進めるためのロードマップを発表した。
「REPowerEUロードマップ」は、欧州委員会が2022年5月に発表した「REPowerEU計画」がベースとなっている。同計画では、再生可能エネルギーの普及を加速させ、省エネルギーとエネルギー効率を向上させながら、ロシア産エネルギー依存から脱却することを柱としている。
【参考】【EU】欧州委、REPowerEU採択。ロシア産天然ガス依存度低下へ28兆円。原発も言及(2022年5月20日)
欧州委員会は今回、REPowerEU計画の成果として、ロシア産ガスの輸入量は2021年の150bcmから2024年には52bcmに3分の1にまで削減。ロシア産ガスの輸入比率は45%から19%に低下したことを強調。また、ロシア産石炭の輸入はウクライナ戦争経済制裁措置によって全面禁止されており、石油の輸入も2022年初頭の27%から現在は3%に縮小している。原子力エネルギーでも、ロシアが設計したVVER型原子炉を現在も使用している加盟国は、ロシアの核燃料を他の生産国の燃料に置き換える作業を進めている。但し、2024年はロシアからのガス輸入が増加した。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は、ロシアからのエネルギー依存を段階的に廃止することは、同氏の2期目の政策大方針である「競争力コンパス」「クリーン産業ディール」「アフォーダブル・エネルギー行動計画」と一致するものと捉えている。
REPowerEUロードマップの特徴の一つは、パイプラインでロシアから輸入している天然ガスを液化天然ガス(LNG)に転換することにある。EUは2030年までに天然ガス需要が400億m3から500億m3減少し、最大1,000億m3にまで減ると見立てており、反対に、LNG供給能力は2028年までに、現在のロシアからEUへの輸出量の5倍に相当する約2,000億m3にまで増加すると予想した。
それを踏まえ、「REPowerEUロードマップ」では、欧州委員会は、ロシア産のガス、原子力エネルギー、石油の輸入を段階的に廃止するための国家計画を2025年末までに作成することをEU加盟国に義務化するEU法の制定を進める。
さらに、欧州委員会は、石油を輸送するロシアの「影の船団」に対処するための新たな措置や、ロシアからの濃縮ウランの輸入を制限する措置の導入も進める。その一環として、EURATOM供給機関(ESA)が共同で締結するロシア産ウラン、濃縮ウラン、その他の核物質に関する新規供給契約の制限も盛り込んでいる。
これに対し、スロバキアとハンガリーの両政府は5月7日、「REPowerEUロードマップ」に反対する見解を表明。エネルギー料金がさらに高まることを懸念した。EU法の立法手続では、EU加盟国の代表となるEU理事会は、絶対多数決ではなく、特定多数決で可決できる。但し、強行採決を続ければ、EUとしての一体感に軋みが入る。
【参照ページ】EU to fully end its dependency on Russian energy
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