
国際エネルギー機関(IEA)は10月7日、世界の再生可能エネルギー発電容量に関する見通しを分析した報告書「Renewables」の2025年版を発表した。
同報告書によると、世界の再生可能エネルギー設備容量は、2030年までに4,600GW増加し、現在の水準の2倍以上となる見通し。これは、中国、EU、日本の総発電容量の合計に相当する。設備容量は、2030年までに2022年の2.6倍に達する見込みだが、2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にするという国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の目標には届かないとした。
今後5年間の世界の再生可能エネルギー発電設備容量の約8割を太陽光発電が占める見通し。続いて、風力発電、水力発電、バイオエネルギー、地熱発電が続く。地熱発電の設備導入は、米国、日本、インドネシア、その他多数の新興国及び発展途上国を含む主要市場で歴史的な高水準に達する見込み。また、系統連系の課題が増大する中で揚水発電への関心が高まっており、今後5年間の成長率はその前の5年間と比較して80%高い。
(出所)IEA
アジア、中東、アフリカの新興国では、高いコスト競争力とより強力な政策支援が再生可能エネルギーの導入を促進。多くの政府が新規入札プログラムを導入し、目標を引き上げている。インドは、中国に次ぐ世界で2番目に大きな再生可能エネルギー成長市場となる軌道にあり、2030年までに野心的な目標を達成すると予想した。
企業レベルでは、再生可能エネルギーの大手開発企業のほとんどは、昨年に比べて2030年の導入目標を維持または引き上げている。例外として、洋上風力発電は主要市場での政策変更、サプライチェーンのボトルネック、コスト上昇により、成長見通しが2024年の報告書から約4分の1程度となった。
同報告書における世界の再生可能エネルギー発電容量の成長見通しは、主に米国と中国における政策変更により、昨年比でわずかに下方修正されている。米国の税制優遇措置の早期段階的廃止やその他の規制変更により、米国市場における再生可能エネルギーの成長見通しは、2024年の予測と比較して約50%低下。中国においては、固定価格買取制度から入札制度への移行により、プロジェクトの経済性に影響を与えており、中国市場における再生可能エネルギーの成長見通しを引き下げている。
(出所)IEA
一方で、インド、欧州、他の新興国・発展途上国の成長により米国と中国の下げ幅のほとんどを相殺。これらの地域では、野心的な新政策、入札件数の拡大、許可取得の迅速化、屋上太陽光発電の導入増加により成長見通しが上方修正された。企業向けの電力購入契約(PPA)、公共事業向け契約、マーチャントプラントも主要な推進要因として挙げた。
発電ソリューション別の評価では、太陽光発電は、2030年までの間、再生可能エネルギーの成長を牽引すると予想。多くの国において新規発電における最も低コストの選択肢であり続けるとした。
風力発電は、短期的な課題はあるものの、供給ボトルネックの緩和とプロジェクトが推進されることで、特に中国、欧州、インドにおいて大幅な成長を予測。水力発電をはじめとする再生可能エネルギー技術は、電力システムを支え、柔軟性を高める上で引き続き重要な役割を果たしていくとした。
課題として、太陽光発電と風力タービンに使用されるレアアースのサプライチェーンは、依然として中国に大きく集中していると報告。世界的なサプライチェーンの安全性に対する継続的なリスクについて指摘した。世界各国でサプライチェーンの多様化に向けた新規投資が行われている一方で、主要な生産セグメントにおける中国のシェアは2030年まで90%を超えると予想されている。
加えて、変動性再生可能エネルギー(VRE)の急速な増加により、出力抑制やマイナス価格の事象は既に多くの市場で発生。送電網、エネルギー貯蔵、柔軟な発電への緊急投資の必要性を示唆している。VREを費用対効果が高く、かつ安全な方法で統合するためにさらに多くの取り組みが必要だとした。
運輸部門においては、再生可能エネルギーのエネルギー利用割合が現在の4%から2030年には6%に増加すると予測。主に中国と欧州におけるEV向け再生可能エネルギー電力の普及が牽引し、ブラジル、インドネシア、インド等の主要市場ではバイオ燃料が成長を支えている。また、建物や産業への暖房供給に使用される世界全体のエネルギーに占める再生可能エネルギーの割合は、14%から18%に増加すると見込み。
【参照ページ】Global renewable capacity is set to grow strongly, driven by solar PV
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