
ドイツ連邦議会(下院)選挙が2月23日に実施され、最大野党中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が得票率28.6%で、再び第1党に返り咲いた。CDUのフリードリッヒ・メルツ党首が次期首相になる見通し。
今回の選挙の結果は、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が28.6%、ドイツのための選択肢(AfD)が大躍進し20.8%で第2党、社会民主党(SPD)が同16.4%で第3党、同盟90/緑の党が11.6%で第4党、左翼党が8.8%で第5党だった。左翼党を離党して結党されたザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)が4.97%と、自由民主党(FDP)が4.3%は、議席獲得に必要な5%を下回った。
これを受け、総議席数630に対し、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が208、ドイツのための選択肢(AfD)が152、社会民主党(SPD)が120、同盟90/緑の党が85、左翼党が64、その他が1となった。過半数議席316に対し、CDU・CSUとAfDが連立を組めば360となり上回るが、CDU・CSUはAfDとの連立の可能性を否定している。CDU・CSUとSPDの中道右派と中道左派で連立を組めば、議席が328となりこちらでも過半数となる。
ドイツでは、2002年にアンゲラ・メルケル氏がCDUの党首になって以降、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党を維持。その後、同盟90/緑の党の党首となったアンナレーナ・ベアボック氏が人気を集め、2021年には首相候補としての支持率も首位となったが、著書の盗作疑惑、助成金申告漏れ、経歴詐称疑惑等のスキャンダルに見舞われ、支持率が低迷。変わりに社会民主党(SPD)が不満票を集め、2005年のシュレーダー首相以来16年ぶりに、社会民主党のショルツ首相が誕生した。
2021年の選挙では、社会民主党が支持を広げたのは、旧東ドイツと旧西ドイツの双方の北部地域。北部地域は商業や工業が盛んで、プロテスタント(ルター派)も多く比較的リベラル層が多い。一方、南部地域は、カトリック信仰が根強く、農業が中心で保守的な風土で知られている。キリスト教をアイデンティティとするキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は特に南部で強固な政治基盤を持っており、2021年の選挙でも圧勝。一方、北部では現政権不満票が社会民主党に流れた。
ところが今回の2025年選挙では、状況が一変。前回選挙で北部の票を大量に集めた社会民主党が大敗。連立与党を組んでいた同盟90/緑の党とFDPも惨敗だった。受け皿となったのが、極右のAfDと、極左の左翼党及びBSWとなった。AfDは前回から10.4ポイント得票数を伸ばし、同様に左翼党とBSWも合計で8.87ポイント得票数を伸ばした。キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)も4.4ポイント伸長したが、社会不満層が極右と極左に二極化する状況が生まれている。
特に地域の状況では、もともとドレスデンを中心とした旧東ドイツ南部で支持を広げてきたAfDが、旧東ドイツ地域全域(ベルリン除く)で圧勝。また、旧東ベルリンでは、左翼党が圧勝した。こうして、社会発展が遅れてきた旧東ドイツでは、既存政党への失望が広がっていることが明らかとなった。反対に旧西ドイツ地域では、北部の都市部では社会民主党が地盤を確保したものの、それ以外の全域でCDU・CSUが圧勝した。
投票者の最終学歴でみても、大卒以上ではAfD支持が13%にとどまっていたのに対し、高卒以下では28%にまで増大。一方、緑の党と左翼党では逆転現象がみられ、大卒以上では緑の党支持が19%、左翼党が11%なのに対し、高卒以下では緑の党支持が4%、左翼党が5%にとどまる。
ドイツでも、格差により、政治分断や社会分断が鮮明になってきている。
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