食品・消費財大手や小売大手が加盟する国際的な業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は5月29日、食品・消費財業界が新型コロナウイルス・パンデミックの影響で発生している業界変革の動きをまとめたレポートを発表した。パンデミック後の新たな時代を指す「ニュー・ノーマル」に向けた変化を促す内容になっている。日本企業で紹介された事例は2つだった。
同レポートは、コンサルティング大手オリバー・ワイマンが制作を協力。CGFは、パンデミック以前から、食品・消費財業界での健康・ウェルビーイングのナレッジ共有プログラム「Global Learning Mechanism」を開始しており、その最中にパンデミックが発生。今回のレポート作成へとつながった。同プログラムには、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、KPMG、キャップジェミニ、オリバーワイマン、ニールセンの5社が協力している。
またCGFでは、世界保健機関(WHO)のデビッド・ナバロ特使(COVID19担当)やCGF理事会からも、生活必需品へのアクセスを維持するため、世界規模での協調が必要との要請もあり、今回、業界としての動きをまとめた形。
同レポートでは、従業員、消費者、ビジネスモデルの3つの観点から「ニュー・ノーマル」について短期での状態と長期的な危機管理対策のあり方を提示。例えば従業員では、需要増に応じた柔軟な人材採用体制、感染状況に応じた柔軟な勤務体制、健康・ウェルビーイング、企業「パーパス」の強調の4つを挙げた。
各項目では、実際の個社事例が紹介されており、事例数は欧米、アジア、オセアニア等の企業で480を超えた。日本企業の事例は、味の素の洗剤・検査キットでの原材料開発・生産、ローソンの感染者の子供への食料提供の2つだった。
CGFは今回、事例だけを束ねた別冊レポートも発行した
【参照ページ】The CGF and Oliver Wyman Publish ‘Business as a Force for Good in Times of a Crisis’