イギリスでは、大規模なガス発電施設が火災に苛まれ、いくつかの原子力発電所が操業を止めていた10月下旬の週末、止むことなく吹き続けた強い風が国内の電力供給を支えた。イギリスの再生可能エネルギー推進NPO、RenewableUKによれば10月18日土曜日の正午には風力発電が30分以上に渡って最大発電量7,998 MWを記録したという。
この発電量はイギリスの10月の平均電力使用量を元にすると1,700万世帯分の電力量に相当し、EnAppSys社のNational Grid統計によると、過去最高の記録とのことだ。また、続く19日の日曜日にはイギリス全体の電力量の約24%を風力発電が供給し、この新記録は今年8月に更新されたばかりの22%を超えるものだったという。
10月18日、19日のイギリス国内における電力供給割合の内訳は、石炭火力が7,961MW(26.4%)、天然ガスが7,818MW(26.0%)、風力が7,105MW(23.6%)、原子力が4,321MW(14.3%)その他が2,916MW(9.7%)だった。
風力発電の今回の快挙の背景には、既存の発電の相次ぐ不具合がある。10月19日、100万世帯分の電力に相当する1,360MWの発電能力を持つDidcot B発電所が突発的な火災により停止したほか、同じ頃、4つの原子力発電所が計画外の供給停止と燃料補給のため操業を停止していた。4つの原子力発電所の合計発電能力は5,303MWだ。このように複数の要因が重なったことで、風力が元来持っている発電パフォーマンスの一貫した高さが、週末にかけて原子力発電所による発電量を上回ったのだという。
RenewableUKで渉外担当デイレクターを務めるJennifer Webber氏は「今年は風力発電が次々に新記録を達成した。このことで、火力や原子力など従来の発電方法が突然作動を停止した場合でも、風力発電が電力供給不足を十分に補う能力を持っていることが証明された」と語った。
また、同氏は「政敵や既得権益者により便利なスケープゴートとしてしばしば利用されることも多い風力発電だが、風力発電はイギリス各地で数百万の世帯に電力を黙々と供給しており、声高に風力発電を中傷する人々に対して確固とした態度で反論している」と語り、風力発電が持つ潜在能力を強調した。
【リリース原文】Wind power steps up when nuclear and gas go offline
【団体サイト】RenewableUK
(※写真提供:Alastair Wallace / Shutterstock.com)
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