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【アメリカ】ペプシコ、水使用量削減で大きな成果。コスト削減効果は5年間で82億円

pepsi

 食品世界大手ペプシコ社は8月29日、これまで取り組んできた水使用量削減の成果を発表した。2015年単年では、飲料水の製造量は拡大した一方、全体で32億リットルの水使用量を削減、2006年比で26%削減を達成した。同社は、飲料に活用する水使用量の削減、発展途上国など飲料水へのアクセスが限られている地域でのコミュニティ活動、食品原料となる農作物栽培に要する水使用量の削減などを通じて、世界中の水利用改善に取り組んできている。同日には同社の競合であるコカ・コーラが、事業利用以上の水資源をコミュニティに還元しているという成果を発表するなど、飲料世界大手では水に対するアクションが活発化してきている。

【参考】コカコーラ、事業利用以上の水資源をコミュニティに還元する目標を達成

 ペプシコ社は、環境サステナビリティテーマでのコミットメントを以前から実施しており、2011年から2015年の間に達成した水使用量削減により、累計8,000万米ドル(約82億円)以上のコスト削減に繋がったという。コミットメントでは水以外にも、エネルギー削減、包装の簡素化、廃棄物削減などへの取組も掲げており、全体のコスト削減効果は6億米ドル(約610億円)になる。

 飲料水へのアクセスが限られた地域でのコミュニティ活動では、NGOと連携し、2006年以来900万人に安全な飲料水を提供してきている。当初の目標は2015年前に600万人に提供であり、この目標を大幅に上回った。原料農地での水使用量削減では、2013年から生産農家に対して水使用改善を含む経済・社会・環境調達基準を設定しており、この基準を15ヶ国、28,000の生産者に対して適応している。インドでは、2013年以降米農家に対して直播き機を開発、導入し、昨年までに累計100億リットルの水使用量削減に繋がった。直播きとは、苗床での苗栽培を行わず、直接農場に種を蒔く新しい手法。苗床を用いないため水使用力削減やコスト削減に繋がるが、種がうまく土中に撒けないと発芽しなかったり、鳥などに捕食されたりするため、日本では直播きは浸透していない。

 ペプシコ社での水に対する取組は、これ以外にも同社の財団であるペプシコ財団でも展開されている。2008年からは米州開発銀行と提携し、ラテンアメリカやカリブで水アクセス支援のコミュニティ活動を展開している。2016年には米州開発銀行と新たに5年間のパートナーシップを結び、ペプシコ財団が500万米ドル(約5億円)を無償提供し、2025年までに約85万人に対して飲料水を届けるプログラムを実施していく。インドでは自活できる小規模水提供企業を広げるSafe Water Network(SWN)活動を支援しており、すでに60万人に水が提供できるようになっている。

 日本にいるとあまり実感しないかもしれないが、経済発展や環境汚染、気候変動などにより、世界中の飲料可能水は年々希少になってきている。事業に使用する水を削減することは、コスト削減に繋がるとともに、将来安定的な水資源の調達を可能にすることに資する。また、新興国では、希少な水資源を巡る政治紛争や社会紛争が相次いでおり、水使用量削減の努力をすることが現地での社会的信頼につながり、政治リスクを下げることができる。

【参照ページ】PepsiCo Exceeds Global Water Stewardship Goals

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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